【記憶のランタン】
「これの中に記憶(思い出)をいれて、満パンになると光るよ」
そう言って手渡されたのは、茶色くて中くらいのランタンだった。
私が、そのランタンを不思議そうにみていると、渡してきた人物は、
「ただし、特別な思い出、残して置きたい事を選ぶんだ。でないと、その中に入らなかった物は、君の記憶にも残らなくなってしまうから。」と注意を促してきた。
「解った!」
私は、そうを返事するとランタンを抱えて家へと帰った。
そして自分の部屋で椅子に座り、机の上に置いたランタンを見つめながら、何を入れようかと考える。
「大切な思い出かぁ…。」
あれもこれも入れたい事が多すぎる。
でも、
「これから先も大切な思い出は出てくるだろうし、まずは一つだけ。」
私はそう言って、思い付く中で一番美しい思い出を浮かべた。
すると、ランタンが一瞬だけぼんやりと光りを放った。
「おぉ!すごい!なるほど、こうなるのか。」
しかし、思い浮かべただけで、入ってしまうのは少し困る。
そこで、私は、ランタンは見えない場所にしまっておき、特別な思い出が出来たら取り出して入れるにした。
それから何十年も経ち、徐々にランタンはいっぱいになりつつあるが、未だに満パンにはなっていない。
一次創作
【君を照らす月】
真っ暗な空に浮かぶ月が、銀色の光を静かに放って君を照らしている。
そんな風景を背に微笑む彼女は、まるで降りてきた月の女神のようだ。
そんな事を言ったら、笑われてしまうかもしれないけど、そう思わずにはいられない。
それほどまでに、月に照らされる君は美しく、いつか帰ってしまうのではないかと、怖くもなる。
お願いだから、どうか彼女を連れて行かないで。
一次創作
【消えない焔】
心の中にある一本の蝋燭。
その蝋燭に灯っている焔は、メラメラと燃え続けている。
この焔の、源はアイツの笑顔だ。アイツを守りたい。
笑顔を見ていたい。
その気持ちだけが、焔を灯し続けている。
アイツがいる限り、俺は俺らしく居られるんだ。
だから、どうか。どうかずっと俺の隣で笑っていてほしい。
創作
無人島に行くならば…、か。
映画とかでよく見る無人島…。
そうだなぁ。スマホは持っていく。電波が繋がるかは解らないけれど、繋がれば助けを呼べるし多少の暇つぶしも出来るし、調べられる。
後は、食料?甘いものだろうか。
なんて想像をしてみるけど、無人島なんて行きたくはない。
【秋風】
少し前までは、温かい風だったのに、いつの間にやら冷たい風に変わった。
寒がりの私には、涼しいどころか寒いぐらいだ。
早く帰ろうと、足早に駅に向かう途中、金木犀の香りが漂ってきた。
だが、駅の周辺には金木犀の木はない。
(そういえば、この近くの公園に金木犀があったような…)
もう少しだけ寄り道をしてから帰ろう。そう思った私は公園へと向かった。
公園には、案の定大きな金木犀が中央に聳え立ち、オレンジ色の小さく可憐な花を沢山咲かせていた。
ゆっくりと歩いて近寄り、そのほんのり甘く優しい香りを堪能する。
「やっぱり好きだなぁ、この香り」
癒やさながら、そんな独り言を呟いた。
すると、後ろから
「相変わらず好きだな、金木犀が…。」
と話しかけられた。
慌てて振り向くと、そこにはこの春から遠距離になってしまった彼氏がいた。
「なんでここにいるの!?」
私は驚きと喜びで、彼氏に詰め寄った。
「ちょうど今戻ってきたんだよ。もしかしたら、ここにいるかもって思って、来たら案の定だ。」
「な、なら連絡してくれれば……」
「サプライズだよ。驚いた?」
彼は少しいたずらっぽく笑いながら言う。
「うん……。でも、会えて嬉しい。」
「俺も会いたかったよ」
そう言って、彼は私を抱きしめた。
創作