星音

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【記憶のランタン】

「これの中に記憶(思い出)をいれて、満パンになると光るよ」
そう言って手渡されたのは、茶色くて中くらいのランタンだった。

私が、そのランタンを不思議そうにみていると、渡してきた人物は、
「ただし、特別な思い出、残して置きたい事を選ぶんだ。でないと、その中に入らなかった物は、君の記憶にも残らなくなってしまうから。」と注意を促してきた。

「解った!」

私は、そうを返事するとランタンを抱えて家へと帰った。
そして自分の部屋で椅子に座り、机の上に置いたランタンを見つめながら、何を入れようかと考える。

「大切な思い出かぁ…。」

あれもこれも入れたい事が多すぎる。
でも、
「これから先も大切な思い出は出てくるだろうし、まずは一つだけ。」

私はそう言って、思い付く中で一番美しい思い出を浮かべた。

すると、ランタンが一瞬だけぼんやりと光りを放った。
「おぉ!すごい!なるほど、こうなるのか。」

しかし、思い浮かべただけで、入ってしまうのは少し困る。
そこで、私は、ランタンは見えない場所にしまっておき、特別な思い出が出来たら取り出して入れるにした。


それから何十年も経ち、徐々にランタンはいっぱいになりつつあるが、未だに満パンにはなっていない。


一次創作

11/18/2025, 10:33:49 PM