『今日の心模様』
霧の中
舟を漕ぐ
うつらうつらと
夢と現実の狭間へ
そこにあったのは
気の抜けた炭酸のような
心持ちの僕
徐々に霧が晴れる
幻を見た
君の着物の柄を見た
また霧が濃くなってくる
霞む視界と引き換えに
意識がはっきりしていった
気づけば少し涼しく
くしゃみが一つ
少々心が晴れたようだ
君の笑顔が見れたのだから
今日はそれで良しとしよう
『たとえ間違いだったとしても』
人の道を歩く僕
道は平坦だが
色の無い世界
君が手を引いてくれたならば
両脇の道を歩けるだろうか
新緑が広がり
小さな花の咲く
鮮やかな世界を
あちこちから枝が伸び
歩くと小さな傷がつく
しかし
その痛みのおかげで
僕は今
心を律することができている
白と黒にはサヨナラだ
見せてくれた景色のなかを
ただひたすら進んでいこう
『雫』
庭のツツジを眺めていた
紅白の花が賑やかだ
ツツジを摘んで
花の付け根の雫を吸う
子供の頃によくしてた
いつからしなくなったのか
摘まれる花を
可哀想に思ったのか
たくさんの悲しみに触れてきた僕は
ツツジすら哀れむようになった
花にも涙を注ぐとは
昔の人の言葉が頭をよぎる
春の陽気も
やや夏の気配を帯びてきた
そろそろ暑さに備えなければ
日に焼け始めた
ツツジの花の
その行く末を想っている
『何もいらない』
何も見たくない
聞きたくない
書きたくもない
そう思い
ペンも置いた
なのに僕は今
月を見ながら
頭の中で歌を詠んでいる
誰も聞いていない
大したものでもない
小さな小さな言葉が零れる
空中を指でなぞる
今ペンは持っていない
これは覚えておかねばならない
そうした思いが去来した
早々に家に帰ろう
何もいらないと言った僕に
サヨナラを
ペンを走らせているであろう
明日の僕に挨拶を
月に微笑み
踵を返す
明日の朝は冷え込みそうだ
『もしも未来を見れるなら』
もし先が見通せるなら
きっと十年後の手紙は
意味が無い
でも先を見通せる力は
今この瞬間を
生きる術は見せないだろう
それがきっと
人らしさを作る
今歩む道が
獣道でも轍でも
一歩一歩進みたい
そうすれは
見えてしまった未来を
変えることができるだろう