『こんな夢をみた』
夢か現実かわからないと言うが
私の夢にも当てはまって
キッチンの食品棚にポテチがあったから
後で食べようと思って見に行ったら
ポテチなんてなくて
そんな夢ばかりでいいと言うのに
なんで君はそんなに鮮明に出てくるのか
出てこないでいい
出てこないでいい
気落ちの具合がポテチどころじゃない
起きて確認できて安堵するような
そんな安い夢でいいのだ。
『タイムマシーン』
アポロを口ずさみながら
ぼーっと青いロボットの出てくるアニメを観ていた
ただ子供の頃には純粋に観ていた
出てくる道具に心が弾んでいた
未来に行けたら?何をしよう?
過去に行けたら?誰と会おう?
ただそれが眩しくて
想像するのが楽しかった
いつからだったろう
冷めた心が生まれたのは
「あんなのは出来ない」
「こんな事は起きない」
そうやっているうちに
子供の心など消えていった
今はアポロを口ずさむのが精一杯で
おそらく宇宙にすら行けないのだろう。
『特別な夜』
毎日が特別
なんてことは思わないけど
大好きな本
大好きなワイン
大好きな君の声
笑い合えればそれで良かった
君のいなくなった日も
呑気にビール傾けてたな。
今も私は静かに
電気ブランを飲みながら
特別な夜を待っている。
水無月はじめ
『海の底』
そこは暗い?
陽も届かず
深く潜れば潜るほど
死の気配が濃くなっていく。
生の気配は薄まっていく。
そこは明るい?
色とりどりの珊瑚が
生きた証を残すために
遠浅の海で咲いている。
そこは温かい?
地下から湧く熱水の温かさ。
そのまわりに息づく生の鼓動
そこは冷たい?
氷に覆われ陽など届かず
ただひたすらに濃紺の世界。
稀に降りてくるはブライニクル
さて
君のいる海はどこにあるんだい?
『君に会いたくて』
「君に会いたい」などと
ある種の呪詛を思う。
会えなくなって10年だろうか?15年だろうか?
ひょっとしたらたかだか5年かもしれない。
だんだんと朧げになっていく記憶は
夢を思い出そうとすればするほど
彼方へ消えていくようなもので。
しかし夢になど出てくれるな。
起きて瞬間悪夢に変わる。
どうせならば忘れてしまえと
願ったこともある。
しかし人は
悲しいかな記憶する生き物で。
忘れようとすればするほど
むしろ鮮明に映ったりする。
どんな喧騒に身を置いても
それはカクテルパーティ効果の如く。
あぁ、いつになったら忘れるのか
さぁ、いつになったら思い出すのか。
今日も温い空気揺蕩うカフェで
私は記憶の海に潜るのだ。