ななしの倉庫

Open App
8/10/2024, 10:38:48 AM

※終点

終点という馬鹿デカい看板が、目の前にある。
しかもその前に、これまたデカい大穴まである。

確か俺、階段から落ちただけなんだが?

振り返ると、俺を見て驚いた顔をした人間がいた。
ただその景色は不気味なことに、誰も動かない。
そしてカラフルなはずの世界が白黒だった。

納得した。納得したよ。
だから、なあ。聞かせてくれ。
死んだ後に大穴に落ちるまでが人生なのか?

8/9/2024, 11:42:50 AM

※上手くいかなくったっていい

世の中それでまかり通ると思ってんのか?
給料に見合った仕事の出来ない奴に
「給料泥棒」って渾名がつく程度には常識だせ?

上手くいかなくったっていい
それが許される場面が如何に少ないか
時事ネタで言うならパリ五輪は正にこの状態だな!

……と、ご機嫌に高説を垂れた俺は今
発言が生意気だという理由で、窓際に追いやられた
何で上手くいかないんだよ!

8/8/2024, 2:09:31 PM

※蝶よ花よ

育ちが違う、そう思った。
美しい所作。目を引くかんばせ。器量も良い。

私のような小商いの娘とは存在感が違った。

「あの様なお方こそ、蝶よ花よと育てられたのかな」
御用聞きを終え、隣を歩く父にそう聞く。
父はくくっ、と喉を鳴らした。
「花魁の出てあるあの嫁子が、蝶よ花よと育てられているわけがないだろう。むしろ毒を含む花の中で、一番に強かな毒蝶であろうがな」

8/7/2024, 8:30:15 PM

※最初から決まってた

そう、最初から決まっていたのだ。

日常、政治・経済、スポーツ……全ジャンルにおいて
散々使い回された「最初から決まってた」

この一言がどれだけ難題であることか!

8/6/2024, 12:43:25 PM

白夜が終わらぬ。太陽が落ちぬ。
不吉なりと占い師が祈祷を捧げる。贄を供物とする。
されど太陽は動かず。落ちぬ、落ちぬ。
陽の光で眠れぬ夜が続き、やがて精神を蝕んでゆく。

誰かが囁いた。これは滅亡の始まりであると。
誰かが呟いた。今年だけの事なのか?と。
誰かが叫んだ。もううんざりだ!太陽は消えてしまえ!と。

けれど白夜に終わりなし。


当然だ──そうシステム管理されたドーム内に彼らはいたのだから。
「今回の研究結果、どうなりそうです?」
「白夜を数ヶ月続けても人間は狂う。今しがた結論を出したところだよ。あとは、そうだな……被検体がどこまで持つか賭けるかい?」

Next