ななしの倉庫

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白夜が終わらぬ。太陽が落ちぬ。
不吉なりと占い師が祈祷を捧げる。贄を供物とする。
されど太陽は動かず。落ちぬ、落ちぬ。
陽の光で眠れぬ夜が続き、やがて精神を蝕んでゆく。

誰かが囁いた。これは滅亡の始まりであると。
誰かが呟いた。今年だけの事なのか?と。
誰かが叫んだ。もううんざりだ!太陽は消えてしまえ!と。

けれど白夜に終わりなし。


当然だ──そうシステム管理されたドーム内に彼らはいたのだから。
「今回の研究結果、どうなりそうです?」
「白夜を数ヶ月続けても人間は狂う。今しがた結論を出したところだよ。あとは、そうだな……被検体がどこまで持つか賭けるかい?」

8/6/2024, 12:43:25 PM