※蝶よ花よ育ちが違う、そう思った。美しい所作。目を引くかんばせ。器量も良い。私のような小商いの娘とは存在感が違った。「あの様なお方こそ、蝶よ花よと育てられたのかな」御用聞きを終え、隣を歩く父にそう聞く。父はくくっ、と喉を鳴らした。「花魁の出てあるあの嫁子が、蝶よ花よと育てられているわけがないだろう。むしろ毒を含む花の中で、一番に強かな毒蝶であろうがな」
8/8/2024, 2:09:31 PM