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7/4/2024, 12:46:52 PM

月が此方に近付いている
街ではそれを見つめる親子がいた
今日の月は大きいね、とはしゃぐ子供へ
それは落ちてくると悟る母親が、そうねと優しくキスを送った

7/3/2024, 10:14:52 AM

体のラインに沿って張り付き、人間を支える罪無いハンモックのように。
何も知らない優しいカーテンタッセルが食い込む首を、ぜんまい仕掛けのように掻き毟っていた。肩の関節が抜けたときのような、取り返しのつかない音を立てて唾を飲み込む。軋む錆びた扉をゆっくり開けるのに似た呼吸音を残し、顰めた顔で腰を落ろしてゆく私を、並んだ標本たちが静かに見つめていた。
展翅された蛾の翅の、12個の目玉が、鱗粉が翅に浮かべた、末広がりの〝ハ〟の字の模様が。自ずと死にゆく私をずっと。ずっと、そこで変わらずに笑っていた。
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

6/29/2024, 4:17:22 AM

あゝ美しい風。清い旋律のよう。
これがいつか走馬灯になるんだものなあ、

6/27/2024, 8:48:41 AM

いとがふつりときれたというか、
結露が一滴落ちたというか。
とにかくクロノスタシスの中で突然。あ。終わりにしましょ。と、なんだか漠然思ったのでした。
履き替えた靴の両足の、紐がどうにも弛んでるのを見て、言い知れぬ惨めさに支配をされて、近日潰れるわたしの体を抱き締めた。
白い女の腕でした。白い肌にあおとみどりの管が透けて、肩まで張り付く夥しい、ケロイドの如く盛り上がっているのでした。
それを人間は醜いと言いました。それでも、わたしはわたしの味方をしたかった。
喩えば黄色い線の外側で。屋上階の柵外で。わたしはまさしく今日この日まで、倒れることなく息をして参りました。
いずれ。目も当てられなく、破壊をされる、この体のまだ確かに綺麗な頃。まだ走馬灯の中身の時間をひとり鬱々と過ごしているのでした。
まだ、綺麗なのになあ………。
誰も抱き締めてはくれないみたいだ。

6/23/2024, 1:08:13 PM

愛していれば何をしてもいいわけではないでしょう
自分の作り上げた偶像の我が子ではなく、
自分とは違う人格の他個体である生身の、
現実の我が子に焦点を当てて愛情を形成する必要がある
それもせず自分の気持ちの主張ばかりして、
何が親だ、何が愛だ
そんな当たり前のことを、あなたは何故。半世紀以上も後に生まれた人間に説かれている

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