nil

Open App
9/24/2025, 6:09:11 AM

唐突に、愛すことに、疲れることがあるんだ。
愛されたいけど、それには愛すしかないけど、全部全部嫌になって、それで一人で、さいごは何処かに行きたくなる。私は一人が性に合ってる。なのにどうして、こんなにさみしいのかな。

枯れ木を乾いた風が撫ぜた。まだ生ぬるいその温度は、夏の残り香のように、確かにそこにあった〝過去〟を彷彿とさせた。

連絡を毎日取るのも、ペアのリングも、なんだか縛られていて苦しかった。でも意気地なしは、それも言えなかった。相手を傷つけるのが怖くて、相手に愛されてないって感じさせるのが怖くて、でもそれは、結局。私は本当は愛してなんかないんだと、バレるのが怖かったんだ、きっと。自分のためだったんだ。最初から、自分のことしか考えてないんだ。

海に行きたくなった。薄暮の水平線に影送りをして、薄い薄いかげだけでも、どこか遠い世界へ行ってしまいたかった。
忘れたい。失くしたい。
まるで、いろんなサイトにメアドを打って、たしかにその時は必要だったのだけれど、今は関係すらなくなった大量のプロモーションに、容量を食われまくっているような気分だった。

いやなやつだ。私は、本当にいやなやつだ。
うさぎを飼っていた。さみしいから、気の狂いそうな静寂を割いて、そのすき間に小さな生き物を閉じ込めた。それが私のうさぎだった。

やつの世話をサボった日、触れるのに疲れたと思った日。なんだか帰路に急ぐのも馬鹿馬鹿しくなった日に限って、やつは私に寄りかかって寝るんだ。顔なんか舐めに来て、ぷうぷう慰めるみたいに鳴くんだ。

どんな顔をするべきなのかわからなかった。こっちはお前を蔑ろにしたのに。結局そうだ。恋人も、こいつと同じなんだ。ずっと、私は同じなんだ、変わらない。変われない。
私を愛してくれてるのに、私は、受け取ってばかりで、愛してなんかない。疲れてる、ただつかれてるんだ。ずっと、被害者面ばかりを繰り返してるんだ。

7/26/2025, 10:24:15 AM

ふわふわぽむぽむ。優しいピンクのうさちゃんの、スクイーズシールを大事に持っていた。
嫌なことがあったとき、疲れることにたちむかうとき、一日無事に生きのびられたひ。
引き出しの奥からそっと取り出して、ひとり温かく握っていた。それだけですべて解れてとけていくから。
齢8のころ、ひそかなオアシス。
誰にも見つからないように、誰にも取り上げられないように。大事にだいじに、引き出しの奥にしまってたのに。

うちに帰ったら何もなかった。
特別柔和な顔した父が、わたしの留守のあいだに、部屋の中身を全て捨てたと教えてくれた。整頓ができていなかったから。捨てておいたからね。ぜんぶ。にこにこ。

とくべつ驚いたりはしなかった。殴られなかったからマシだと思った。いかにもやりそうなことだと思った。泣いたら思うツボだと思った。

すこしの失望だけを抱えて、こらえて覗いた引き出しの中は。本当に聞いていた通り、糸くず一つ、跡形なかった。

5/31/2025, 3:03:23 AM

窮屈でたまらない、恐ろしくてたまらない
抱き寄せる何かも見つからない
同じ世界を見ていないから、
血反吐吐くほど動悸が止まらない
消えてしまうのは分かっているのに、
言葉がいつも伝わらない

5/4/2025, 3:39:59 AM

茜の咲いた遠き日に、顔を見せてと目を細めては

4/28/2025, 9:55:05 AM

失った次の日の朝は、その前の日と何ら変わらず、
見慣れた顔をしてそこにあった。

Next