唐突に、愛すことに、疲れることがあるんだ。
愛されたいけど、それには愛すしかないけど、全部全部嫌になって、それで一人で、さいごは何処かに行きたくなる。私は一人が性に合ってる。なのにどうして、こんなにさみしいのかな。
枯れ木を乾いた風が撫ぜた。まだ生ぬるいその温度は、夏の残り香のように、確かにそこにあった〝過去〟を彷彿とさせた。
連絡を毎日取るのも、ペアのリングも、なんだか縛られていて苦しかった。でも意気地なしは、それも言えなかった。相手を傷つけるのが怖くて、相手に愛されてないって感じさせるのが怖くて、でもそれは、結局。私は本当は愛してなんかないんだと、バレるのが怖かったんだ、きっと。自分のためだったんだ。最初から、自分のことしか考えてないんだ。
海に行きたくなった。薄暮の水平線に影送りをして、薄い薄いかげだけでも、どこか遠い世界へ行ってしまいたかった。
忘れたい。失くしたい。
まるで、いろんなサイトにメアドを打って、たしかにその時は必要だったのだけれど、今は関係すらなくなった大量のプロモーションに、容量を食われまくっているような気分だった。
いやなやつだ。私は、本当にいやなやつだ。
うさぎを飼っていた。さみしいから、気の狂いそうな静寂を割いて、そのすき間に小さな生き物を閉じ込めた。それが私のうさぎだった。
やつの世話をサボった日、触れるのに疲れたと思った日。なんだか帰路に急ぐのも馬鹿馬鹿しくなった日に限って、やつは私に寄りかかって寝るんだ。顔なんか舐めに来て、ぷうぷう慰めるみたいに鳴くんだ。
どんな顔をするべきなのかわからなかった。こっちはお前を蔑ろにしたのに。結局そうだ。恋人も、こいつと同じなんだ。ずっと、私は同じなんだ、変わらない。変われない。
私を愛してくれてるのに、私は、受け取ってばかりで、愛してなんかない。疲れてる、ただつかれてるんだ。ずっと、被害者面ばかりを繰り返してるんだ。
9/24/2025, 6:09:11 AM