冬休み
ちんちんどんどん
ちんどんどん
俺の名はチンドン屋のドラ息子!
名は陳鈍平!
朝から晩までずっとドラム🥁テクを親父に叩き込まれて早26年間が経つ。
そう、俺は世間ではニートと呼ばれる。
ふと視線を外に向けるとガキンチョ共が楽しそうにはしゃぎまくる姿が目に映った。
親父にただお前は、太鼓を叩いてればいいんだ!
と言われろくに学校も通わせてもらえなかった。
逆らえば親父に殴られて、お袋が泣きながら俺を庇う。俺はお袋を悲しませたくない一心で無我夢中で太鼓を叩き続けた。
ちんちんどんどん
ちんどんどん
俺は親父に自分の青春も大切な時間も奪われた
冬休み、きっと学校に通っていたらとても楽しくワクワクに感じるんだろうな…
だから俺は、太鼓を激しく叩く
ガキンチョ共の耳に届くように
ガキンチョ共、聞こえるだろうか?
お前らの人生は
お前たちのものなんだ
だからせいぜい
スクールライフも
自分の人生も楽しめ
楽しんで生きていけ!
冬休み楽しめよ!
ちんちんどんどん
ちんどんどん
虚しく冬の空に
チンドン屋の楽器の音がこだまする。
ちんちんどんどん
ちんどんどん
〜冬休み〜
ー完ー
手ぶくろ🧤
チンドン屋の臨時バイトをしていた大学2年生の冬の寒い夜のこと
親方「よし!今日はクリスマス🎄🎅‼︎たくさんチンドンして聖夜でクリぼっちな人類達の心を灯すマッチ棒になるんだ!」
俺「はい!俺頑張ります!」
ちんちんどんどん
ちんどん💥
カップル達から白い目で見られるのはすごく胸に突き刺さるが、それでも俺はチンドンラーとしてチンドン屋をやるんだ!
己の中に宿す江戸っ子の血が疼く。
俺「ちんちんどんどん!ちんどんどん!」
毎日通い詰めた太鼓の達人🪘で鍛えた太鼓のバチテクがこんなところで役に立つとは!
だがしかし、手が冷えて思うように太鼓が叩けない!
俺のチンドン屋生命も、もはやここで尽きてしまうのか⁈
天の声「若者よ…若者よ…、私はチンドン屋を守護する女神陳呑です。さぁこれを手にはめなさい」
空から手ぶくろ🧤がひらりと俺の元に落ちてきた。
俺「女神様!ありがとうございます!」
こうして今日も一日俺はチンドン屋で太鼓を叩きまくるのだ。
ぼっち達の心を灯す一本のマッチ棒として。
〜手ぶくろ🧤〜
ー完ー
奇跡をもう一度でもいいから
神様どうか願いを叶えてください
静寂に包まれた部屋
薄暗い空間に一筋の光が差し
部屋のドアの前に当る
その光はまるで行き先を標ているみたいだ
お前はここから出る必要がある
お前はここにいてはならない
ドアを開けてから先の世界は
誰一人としてわからない