空が泣く#76
また今日も空は泣いているみたい。
空が泣くとこっちまで悲しくなっちゃうな。
君にはやっぱり笑顔が似合うよ。
ほら、せっかく秋になったんだ。
ホクホクにならなきゃでしょ?
僕も一緒にホクホクになるからさ(?)
夜明け前#75
夏の終わりってなんだか寂しいよね。
あれだけ暑いって言ってたのにめっきり聞かなくなったりアイスも食べなくなっちゃうし。
秋ってなんだか面白いなぁって私は思うの。
急に寒くなったり、急に暑くなったりして毎朝の服選びも大変。
でも、こんなことできるのって秋だけじゃない?
最近は秋どこいった?とか聞いたりするけど、私は服どうしようの季節が来たら秋だなって感じるの。
夜明け前の気温も毎日変わってたりするから季節を感じられて素敵。
開けないLINE#74
夏の終わりを告げられた僕は結局なにもすることなくアイスみたいに溶けた生活を送ってた。
いつだってそうだったけれど暑すぎないかと思うわけよ。
冷房と仲良しで夏休みの宿題だって溶けちゃえばいいのにさ。夏休み中スマホとにらめっこしていたからメッセージだって即レスだったけれど唯一確認できてないLINEがあった。
未読だろうか、既読は付いているかな。それを確認するのが怖い。
もうブロックされているだろうか、もうそれでもいいけど。
僕の開けないLINEはこの夏のエラーにしよう。
また、来年の夏までさよなら。
空模様#73
透明少女は今日も空を見上げて悔しそうな顔をして、曇った空に向かって目を腫らしていた。
夏のせいにしてきたこの気持ちを空模様で表したようなそんな夕の空だった。
涙を噛みしめて必死の笑顔でニッと笑っていた。
僕は隣には立てなそうだなと内心で悔やんで、冬だったなら僕の方を選んでくれたのかなとそんなことを場違いに考えた。
恋の実は苦くて美味しくないことを知った夏の終わり。
終点#72
“十代の終点・一九歳”
気づけばもうこんなに生きたのかと今更ながら振り返ってみるけど何もなくてさ。
大人になる実感なんて湧かないままで、ずっとあの頃の帰りの会で居残りをさせられている気分でさ。
あの頃のあいつは何をしているんだろうかと日の落ちた空へ声を届けてみる。
十九歳の片道切符を握りしめてさ。
二十歳になった自分に託そう十代最後の最後まで。