柚月まお

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3/4/2026, 4:57:17 AM

ひなまつり#83
 
 「あかりをつけましょ、ぼんぼりに……」
ふと、口からこぼれた言葉に私はハッとした。
私はいつからあの頃の気持ちを忘れたんだろう。
純粋に姫になれていた幼少期。今はもう忘れたよ。ひなまつり、ひな祀り。いつか可愛いニワトリになって新しい命を巡らせておくれよ。散々な日だ。もう私の心のぼんぼりにあかりは灯らないの。
でも、だからこそ。私の偽善で幸せを生んであげたい。
 ひなあられみたいな十人十色の人たちの幸せを願わせてください。
 成り損ないの私より。夜中の星空を眺めている私より。

2/1/2025, 4:38:24 PM

バイバイ#82
 
バイバイ。
僕が不甲斐ないから僕じゃない誰かに心を傾かせるのか。
後悔してももう今更だけど今更だから後悔する。
後を悔やむよ、好きだったからね。
またねだったら希望が持てたけどお別れでバイバイはもうなにもないよね。
君がまた前を向いて歩けるように僕とお別れして明るい明日へ進んでほしい。
僕はもう少し後悔に縋らせてもらうね。
バイバイ。

12/3/2024, 5:12:18 PM

さよならは言わないでⅡ#81

 予報通りの雨は木々を湿らせた。
傘の中だけの関係だと言わないでほしい。
「さよならは言わないで。」
またね。って言ってわたしに希望をちょうだいよ。
結んでくれた関係はきっといつか解けるんだと思いながら一緒にいるのは辛いよ。
僕が伝えた好きは君には隙に見えているの?
どうなの?
君が褒めてくれたくるみ色も桜色の羽織りも今は雨に濡れて少し色を変えちゃったけれど好きですか?
私より少し高い目線には何を映しているの?
相合傘でドキドキしているのはわたしだけなのかな。君もドキドキしてくれているのかな?
心臓の音を聞かせてほしいな。
雨が止んでも貴方のとなりはわたしがいいよ。
「さよならは言わないで。」
また明日ね。 をわたしにちょうだい。

11/29/2024, 11:29:30 AM

冬のはじまり#80
 
 夜が長くなるたび冬のはじまりを思い出す。
あなたのせいでまたあの頃に逆戻りしてしまう。
香水はもう香らないのにまた求めてしまう。
 
あなたの“好き"が私を満たしていたのに今は不香の花に成り下がったみたい。
心の内を明かしたらまたあなたは駆けつけてくれるの?
「いなくならないよ」
なんて嘘だった。
みんな嘘つきなんだね。
 
 でもね、もういいの。
私は私で私の道を歩んでいくから。
小さな夜に恋した私の罰だね。
冬が来る時はいつも何かが終わる。
春からまた青い果実で始まるんだ。
青くたっていいんだ、また熟すから。
私は可愛いから香らない花でも花だもん。
さよなら恋した未熟な私。

10/24/2024, 12:58:19 PM

行かないで #79
 
 冷たい風が肌を撫でる早朝。
身震いしながら外に出て空を見上げた。
空が高くて澄んでいた。
夏の終わりと秋の始まりを予感させる。
季節の匂いも変わっていって私の好きな夏の匂いもなくなって切なく思ってしまうよ。
夏よ、行かないでおくれよ。
秋と冬が近くて暖かさが恋しいのかも。
空が澄んでいるから月も綺麗に見えるかな。

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