さよならは言わないでⅡ#81
予報通りの雨は木々を湿らせた。
傘の中だけの関係だと言わないでほしい。
「さよならは言わないで。」
またね。って言ってわたしに希望をちょうだいよ。
結んでくれた関係はきっといつか解けるんだと思いながら一緒にいるのは辛いよ。
僕が伝えた好きは君には隙に見えているの?
どうなの?
君が褒めてくれたくるみ色も桜色の羽織りも今は雨に濡れて少し色を変えちゃったけれど好きですか?
私より少し高い目線には何を映しているの?
相合傘でドキドキしているのはわたしだけなのかな。君もドキドキしてくれているのかな?
心臓の音を聞かせてほしいな。
雨が止んでも貴方のとなりはわたしがいいよ。
「さよならは言わないで。」
また明日ね。 をわたしにちょうだい。
冬のはじまり#80
夜が長くなるたび冬のはじまりを思い出す。
あなたのせいでまたあの頃に逆戻りしてしまう。
香水はもう香らないのにまた求めてしまう。
あなたの“好き"が私を満たしていたのに今は不香の花に成り下がったみたい。
心の内を明かしたらまたあなたは駆けつけてくれるの?
「いなくならないよ」
なんて嘘だった。
みんな嘘つきなんだね。
でもね、もういいの。
私は私で私の道を歩んでいくから。
小さな夜に恋した私の罰だね。
冬が来る時はいつも何かが終わる。
春からまた青い果実で始まるんだ。
青くたっていいんだ、また熟すから。
私は可愛いから香らない花でも花だもん。
さよなら恋した未熟な私。
行かないで #79
冷たい風が肌を撫でる早朝。
身震いしながら外に出て空を見上げた。
空が高くて澄んでいた。
夏の終わりと秋の始まりを予感させる。
季節の匂いも変わっていって私の好きな夏の匂いもなくなって切なく思ってしまうよ。
夏よ、行かないでおくれよ。
秋と冬が近くて暖かさが恋しいのかも。
空が澄んでいるから月も綺麗に見えるかな。
どこまでも続く青い空#78
もう少しでまた明日が始まっちゃうね。
未来は来ちゃうし、空っぽの日常を惰性で生きている。
夢の中であの人の面影をずっと追いかけてさ。
未練がましい自分が嫌になるよ。
僕の前から姿を消したくせに、記憶からはいなくなってくれないみたい。
何も言わずにいなくなるなんてズルいよ。
どこまでも続く青い空を辿ればまた君に会えるかな。
カーテンⅡ#77
僕はまたカーテンで閉ざされた暗い部屋で眠りにつく。
またあなたに会うために夢の世界の扉をノックする。
「夢でも逢えたならそれでもいいよ。」
あなたに逢えるのだから、今日は夢の中のあなたに支えられながら頑張る。
あなたはいつも通りの雰囲気で僕のわがままを聞いてくれた。夢の中のあなたも相変わらず可愛かった。ミルフィーユみたいな人だと改めて思ったよ。まだいっぱいあなたのこと知りたいな。
カーテンで閉ざされた夢のまた夢を叶える夢をみた。