たくさんの想い出#11
私ね、恋バナ大好きだから、よく恋愛相談に乗るんだよね。いろんな人の話を聞いて相槌をうったりとかアドバイスさせてもらってるの。拙い言葉だけどね。
一目惚れした人とか、まだ片想いでどうしよ〜とか、この恋は実らなそうですかとか…話を聞く人が十人いたら十個の悩みが聞けて人それぞれ恋愛観が違って素敵だなって思うよ。そのお話にはたくさんの想い出があるから、たとえ片思いでもその人を想っていた日々とか時間ってプレシャスだとおもうよ。
子猫#10
「私たちもう別れようよ」
私はそれだけ送信してスマホの明かりを消した。
真っ暗で曇った空にため息をついた。
星なんてなかった。
もう今年もラストスパートで、私の香水もラストノート。
クリスマスを前にして別れを告げた。
空は黒くて息は白い。私は待ち続けたあの人が来るのをずっと前からこの寒空の下で。
でもあの人は一向に現れなかった。
約束なんてなかったみたいに平然としているのかな。
私は分かっていた。あの人は他にも会っている人がいることくらい知ってた。
だって私と会う時はいつだって他の女の匂いがしたから。
別れようなんて今更かもね。
私はいらない子。
あの人猫好きだって言ってたな。
私が子猫にでもなったらまた愛をくれるのかな。
霜のように冷たい手と、あなたの心。
さようなら。
柔らかい雨#9
私は雨の日ってあんまり好きじゃないの。
制服とか髪が濡れるとかじゃなくてね。
心を流されてる気がして汚れと一緒に気持ちも流されそうな感覚になってしまって、ちょっと不安になるの。柔らかい雨だとよりそう思うんだ。
でも、傘をさすのは好きよ。いつか私も全て雨のせいにして傘もささずに水たまりに映る世界に行ってみたいな。
友達#8
これを読んでいるそこのあなたへ。
"友達"ってどんな印象ですか。
私は関係をあらわす上で便利な言葉だと思います。
例えば私が好きな人が"僕たちって友達だよな"と言ってきたとしましょう。
人それぞれ受け取りかたは違いますが、私はこう思います。
この人とは友達以上の関係にはなれないかな
と。
"友達"って言葉は便利だけど、私はちょっと怖いなって思うこともあるよ。
秋晴れ#7
一瞬の秋と白くなる息。
夏が終わって秋の香りがする早朝。
私が好きな季節になりつつある日常。
見上げる空は高くて、気温は徐々に低くなって秋晴れの空から冬空へと巡っていく。
寒がりな私は息が白くなるたびに秋への後悔を残している気がするよ。
至福の秋は一瞬で終わってしまう。
アパレルショップは冬の装いをしてたけどね。