全て創作です

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7/2/2025, 11:50:29 AM

ジュエリーショップの店先にあった、クリスタルの
指輪。隣に並んでいた彼は、それを見つめる私を
見つめていた。

「買ってくるね」

『えぇ?いいよいいよ、私、見てただけだし』

「いいから」

と、その指輪を持ってお会計をして戻ってきた。
6000円に満たないその指輪を持って戻ってきた彼は

「愛してる」

と言った。彼はその指輪の箱をぱかりと開けて、
指輪を私の指にはめた。きらり、と指の上で水晶が
光の反射で光る。

『ありがとう』

目頭に熱いものが上ってきて、思わず天を仰いだ。
彼は照れくさそうに笑って私の指に手を絡める。


「本番は、また、やるから。」

その言葉がプロポーズを表していると気づくまで、
あと1秒。

7/1/2025, 2:11:37 PM

「暑い」

口を開けばみんなそう言うので、私もさらに暑く
感じる。夏って、こういうところから感じるのでは
ないだろうか。夏の匂いって、ふとしたときに気づく
ものではないか。ああ、今年も、暑いな。

6/30/2025, 10:17:12 AM

カーテンの隙間から射す光が、眩しかった。

まるであの人みたいだった。君に照らされて、
私は今日も息をしているんだ。君が笑っているだけ
で、それだけでこの世界は鮮やかでいてくれる。私に
とって、絶対に生きる価値があると思わせてくれる。

まだ眠ろうとする身体を起こして、カーテンを
思いっきり開けてみた。やっぱり眩しい。暑い。
君と会った時にかわいくしていたくて、焼いて
いなかった肌は綺麗な薄橙である。カーテンを閉め、
朝の支度を始める。

あなたに会えたとき、私はどんな顔をするのだろう。
そもそも、地方に住んでいて会えるのか。チケットの
高い倍率を乗り越えられるのか。ハードルは高い。
しかし、君に会えたとき。君を間近で見れたとき。
私の全細胞は喜びに満ちることだろう。そのために、
私は綺麗になるのだ。

あの、模様替えの話をしていた彼の影響で買った、
微かに揺れる純白のカーテンみたいに。

6/30/2025, 6:03:40 AM

澄んでいる空。雲ひとつなかった。
深い青空に眩しい太陽。

輝いている大海は、僕の背中をそっと押している。

「さぁ、気持ちを伝えるんだ。」

深く青い時期にしか、出会えないものがある。
それがまさに、彼女のことだと、僕は思う。

じゃあ、青く無くなってしまった僕たちは、空の下で
何を思うのだろうか。

6/28/2025, 2:51:11 PM

「あー…あっつい…」

私がそう言えば、

「いや、冷房寒くない?」

と隣の彼女が言う。友達である亜美は寒がりで、
対照的に私は暑がり。だから、季節関係なく、私は
一年中暑いと言うし、彼女は一年中寒いと言うのだ。


「梅雨明けてきたのかな」

と彼女が言う。私は、暑いしそんな訳ないから!!と
悲痛な叫びをあげる。いや、これは本心だ。

これが、毎年の恒例である。
ああ、夏の気配がする。

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