ジュエリーショップの店先にあった、クリスタルの
指輪。隣に並んでいた彼は、それを見つめる私を
見つめていた。
「買ってくるね」
『えぇ?いいよいいよ、私、見てただけだし』
「いいから」
と、その指輪を持ってお会計をして戻ってきた。
6000円に満たないその指輪を持って戻ってきた彼は
「愛してる」
と言った。彼はその指輪の箱をぱかりと開けて、
指輪を私の指にはめた。きらり、と指の上で水晶が
光の反射で光る。
『ありがとう』
目頭に熱いものが上ってきて、思わず天を仰いだ。
彼は照れくさそうに笑って私の指に手を絡める。
「本番は、また、やるから。」
その言葉がプロポーズを表していると気づくまで、
あと1秒。
7/2/2025, 11:50:29 AM