2/12/2023, 2:28:44 AM
半年間を一緒に過ごした仲間が、この場所を離れることになった。またいつか会おうとぼくらは握手をする。
「またこの場所で」と言葉を添えると、彼は握った手に力を込めて言った。
「いや、地球で」
どうやら違う星に行くみたいだ。
2/9/2023, 11:03:18 PM
花束がリボンを緩めて、ベンチに座っていた。
わたしは花束の横に座って、「もらっていいですか?」と聞いた。
花束が「どうぞ」という。
リボンを締め直すと、花束は嬉しそうに笑った。
2/8/2023, 11:08:19 PM
積もった雪が笑っている。
人や車がそれを消していくけれど、積もるたびに雪は笑っている。
今日はそれを眺めていようと、ちいさな子は思っている。
2/7/2023, 6:00:04 AM
世界から短針がなくなったので、人々が空を見上げる回数が増えた。
細かい時間は、分針で。
2/6/2023, 2:19:54 AM
悲しみが溢れてどうしようないとき、部屋のドアをノックする音がした。
ドアを開けると、そこに悲しみが立っていた。
「溢れてしまったので」と泣いている。
わたしは悲しみを抱きしめた。
安心した悲しみは、わたしに戻って、「ありがとう」と言った。心に優しさが溢れ出す。
ノックの音がまた響いた。
こんどは開けずに、わたしは言った。
「誰かのもとへ行ってあげて」
溢れ出した優しさが、誰かを救いますように。