yuhi

Open App

悲しみが溢れてどうしようないとき、部屋のドアをノックする音がした。

ドアを開けると、そこに悲しみが立っていた。

「溢れてしまったので」と泣いている。

わたしは悲しみを抱きしめた。
安心した悲しみは、わたしに戻って、「ありがとう」と言った。心に優しさが溢れ出す。

ノックの音がまた響いた。

こんどは開けずに、わたしは言った。

「誰かのもとへ行ってあげて」

溢れ出した優しさが、誰かを救いますように。



2/6/2023, 2:19:54 AM