放課後の帰り道
友と自転車に乗って
坂道を一気に下る
特別な思い出の日
気になるあの子を後ろに乗せて
家まで送った
真冬の寒い朝
母親に頼まれたおつかい
早く帰りたかったから
冷たい自転車に股がって
全速力で漕ぎ出した
自転車に乗っているのは
僕と
僕の大切な思い出
体の健康と違って、心の健康は目に見えないものだ
そりゃあ顔に出やすい人間なんかはすぐ気づかれるだろうが
そうでない人にとって
心が健康ではない時間は
とても苦痛なものだ。
長年の付き合いで分かってくれる人が傍にいるなら
そんなに悩む事でもないのだろうか。
僕にはそんな人居ないから、憶測で話す事しかできない。
友達なんていないし、普段から人と関わる事もない
実の親にすら理解されないのだから、心は不健康になる一方だ
心は体と同じで、不健康な状態がそのまま悪化していけば
いつかどこかで死んでしまうのだと、僕は思う。
さぁ、このまま僕の人生が進んでいくなら
僕はいつ死ぬのかな。
今は少し、その日が楽しみだ
君の奏でる音色が好きだ
特段上手いわけでもないのに
どんなに凄い演奏よりも
君の繊細な音色に惹かれている
放課後、夕日の射し込む旧校舎の音楽室で
君と演奏していたあの日々は
今でも僕の宝物だ
夏の終わり頃
君と最後の海岸デート
僕が贈った麦わら帽子から
太陽にも負けない眩い笑顔を覗かせる君は
相も変わらず小麦色の肌に沢山の絆創膏をしている
そんなヤンチャな所も好きだけれど、好きな子が怪我をする度
僕は胸が痛むという事を
知っていて欲しいな
君を忘れないように
君に忘れられないように
今日だけで何百枚も写真を撮った
写真の中の君は
相も変わらず透けている
『次は──終点、終点───』
真夜中
僕は今夜も終電で家路を辿る
人の居ない寂しい車内
窓越しに見つめる
燦然と輝くネオンの街は
僕にはとても眩しくて
飲み込まれてしまいそうだ
こうやって今夜も
夜に沈んでいく
『お足元にお気を付けて────』