上手くいかなくたっていい
って大人は言うけど
そんなの何の励ましにもならない
上手くいかなかったら
そこから何を得るのか
それは人それぞれなのに
上手くいかなかった経験が、トラウマになって一生付き纏う
そんな人生
もう疲れたな
蝶よ花よ
華やかなあなた
宙を舞い旅に出て
また会いたい
いつの日か
事故で死んで、乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。
漫画やアニメで何度も見た展開だ
私が転生したのはなかなかにダークな内容の乙女ゲームで、
ヒロインに選ばれなかった攻略対象者は皆死んでしまう。
私は悪役だけど、ヒロインも攻略対象者達も大切で大好きな
キャラクター達だ。未来に起こる事を知っている私が、皆を
守って最高のハッピーエンドにしてみせる。
…と、思っていたのに。
どう試行錯誤を重ねても、誰を味方につけても、必ずゲームの展開通りに事が進んでしまう。
どんなに私が善行を積んで良い人であろうと、この世界は私を必ず悪役令嬢に仕立て上げる。
悪役として見られている私の意見なんて誰も耳を貸さない。
そうやってシナリオは正常に進んでいき、ヒロインはこのゲームで最も人気だった王国の王子様と結ばれた。
私は残された攻略対象者と一緒に死の運命を辿っている。
全て、最初から決まっているのだと
私には何も変えられないと、もっと早く気づけたら
結末は変わっただろうか
貴方は僕の太陽でした
居場所を無くして暗がりに引きこもっていた僕を
貴方は優しく照らしてくれた
貴方の傍はとても暖かくて居心地が良い
僕は幸せでした
光があれば影もあるということに
気づくまでは
幸せでした
ゾンビになった人達に自我はあるのだろうか。
これは一生解消されない疑問だろうと、そう思っていた
7月1日
この日、人類は突然現れた未知のウイルスにより滅亡した
映画やゲームで何度も見たゾンビパンデミックを、まさか自分が経験する事になるとは思わなかった。
最初は少し、ワクワクした。事のあまりの重大さに脳がついていけなかったのだろうと、今は思う。
なんの取り柄もない一般人の俺だが、友人達と運良く生き延びている。
ある日、生活が落ち着き始めたので、寝泊まりしている学校の屋上で感染者たちの観察を試みた事がある。
校庭にいるのは学生服を着た感染者が殆どだ。
それぞれがあまりにも痛々しい見た目をしているものだから、俺は途中から具合が悪くなり目を背けていた。
夕暮れ時になり、ウトウトし始めていた俺は
突然鳴った大きな鐘の音により目が覚めた
鐘の音に反応したのは俺だけではなく、殆どの感染者達は校庭から出て、その多くは住宅街の方へ向かっている。
毎日夕方になると街中で聞こえるこの音。
親に『鐘の音が鳴ったら家に帰りなさい』と言われていた人も
いるだろう。
少なくとも、俺の住んでいるこの街では多くの人間がそう言われて育ったと思う。
だから、だろうか。
彼等は、あんな姿になっているというのに。
それでも親との約束を守ろうとしている。
きっと感染者達に自我はないのかもしれないが
その人の歩んだ人生が完全に消えて無くなる訳ではないんだと
俺は少し安心した