【涙の星】
彼女の涙は星となる。
泣いた数だけ星が生まれる。
けれど彼女は泣き虫だ。
人と話すだけで涙を流す。
だから、この世に星は際限無く生まれ、資源は豊富。
人には過ぎた星が溢れている。
君を見る時は、いつも胸が高鳴った。
君と話す時は、いつも心が軽かった。
君も同じだと、思っていたんだ。
思ったとおりだった。
何処か遠くを見つめる瞳は安らかで。
開いた口からは優しい歌が聞こえる。
でも、君を連れ去ろうとする者がいる。
俺と君を離そうとする者がいる。
だから俺、終わらせておいたよ。
「さあ、また来る前に行こうか……相変わらず、かまってちゃんだね、君は。仕方ないな、今日も君を抱えてあげるよ」
【■かぬ君と、共に永久を】
【華麗なる一日を】
静かな日々は、私の密かな夢だ。
園に通い、友と交流をし、親交を深める。
それが嫌だとは言わないが、時には一人で読書に耽る時間が欲しい。
試しに、爺に言ってみた。何とか私の一人きりの休日を作れないかと。すると爺は、軽く口角を上げてこう答えた。
「では、明日の予定は全て後日に回しておきます。困り事があれば、何なりとこの爺にお任せを」
流石は爺だ。父が私の側付きにする事を渋っていただけはある手際の良さ、これからも仲良くしていたいものだ。
⸺それが昨日。今の私は、蔵書室で一日を過ごしている。時折休憩で飲む紅茶は素晴らしく、軽食も丁度いいタイミングで届いた。
相変わらず、我が家の使用人達は優秀だ。彼らのおかげで平穏な日々を過ごせている。
ただし、最近入った新人メイドは失礼な娘だがな。先程も紅茶のおかわりを頼んだ際、私が読んでいる本を見て口を滑らせていた。
「……ぼっちゃまって、本当に幼稚園生なのですか? 時々、四歳らしからぬ発言をされているのですが」
酷い娘だ。我が家は代々、幼少の頃から素晴らしき記録を残している名家なのだ。年不相応なのは当然だろう。
メイド長にもう少し教育を厳しくするよう進言しておかねばな。
だが、それ以外には何事も無かった。今日は平穏な日々だったと言えるだろう。
また明日から、同じ日々を続けよう。
【月の夜は】
月が見える夜は、好奇心が止まらない。
月が見える夜は、高鳴る鼓動が抑えられない。
まあるい月が見える夜は、私の身体は変わりゆく。
雪と桜が舞い散る狂いし季節の満月夜。
先に天へと行きし友を想い、我が身を獣へと貶めよう。