「こんな夢を見た」
良い夢?悪い夢?
どんな夢でも夢は夢だけれど、
時々、摩訶不思議な夢を見ることがある。
その日は、懐かしい私に出会った。
〈なにをしてるの?〉
幼い頃のあどけない顔をした私がそこに。
『遊んでるの。おねぇさんは?』
急に風が吹き始めた。
〈何を、したかったのかな?〉
幼い頃の私が、キャッキャと笑う。
『変なの!でも、楽しかった?』
小枝を持って、地面に何かを描き始める幼子が、楽しそうに落書きをしている。
〈うーん…。楽しかったかもしれないし、辛かったかも。〉
落書きする幼子の隣に腰を落として、膝に肘を当てて頬杖を付くように見上げた空は青くて、クジラの様な形をした雲がふわふわと浮かんでいた。
『ふぅん。よくわかんないや。…あっ!クジラだ!ドコに行くのかな?』
幼子が立ち上がって、嬉しそうに雲を指さした。
〈ふふふ、クジラだね。きっと、何処までも行けるよ。自由にね。〉
隣ではしゃぐ幼子が、私の肘と手首を掴んで、立ってとせがむ。
『ねぇ、追いかけよう!』
グイグイと引かれるまま、つられるように立ち上がって、そっと幼子の手を握った。
「特別な夜」
特別な夜って、何だろう?
とっても想像が膨らむ言葉。
気の置けない友人たちと過ごす時間?
美味しいご飯とお酒の時間?
素敵な人とのランデブー?
愛しい人とのオトナの時間?
きっとどれも特別で大切で、忘れられない夜の事なんだろうな。
※閲覧注意※
IF歴史、タイムトラベラーなモブが居る。
意味不明な世界線。自分だけが楽しい。
《海の底》
沈むしかない。
未来は変えられない。
顛末を知っている者から見れば、海底に沈む運命と断言するべき状況。
その背を推してやるのが餞とさえ思える程に。
何故、あなたが沈まなければならないのか。
あぁ、あなたを救う術はないのか。
愛しい人を、未来ある筈の幼子を、時代と言う名の奔流が押し流していくのを、ただ茫然と見送るしかないのか。
『海の底にも、都はあります。』
時代の勝者か、あるいは後世に記されたであろう伝記の胡散臭い台詞が、耳朶をざわつかせる。
「…なんだかなぁ。」
遣る瀬無く見上げた空は、抜けるように青かった。
良い天気だ、なんて呑気な感想が隣から聴こえてきて、いよいよ身震いした。
「それ、今?アンタが言う?」
呑気な感想を述べた当の本人は、何か問題でもあるのかと嘯いている。
「あー、別に。個人的に、あんま聴きたくなかったなぁ、ってだけ。」
おかしなヤツ認定されている為、また妙な独り言かと、相手は処理した様だった。
『折を見て、木船に乗れ。』
《お前は連れて行かない。》
そう言い切った背中は、いつも通り高揚していて、いつもよりは少しばかり小さく見えた。
「アンタも、楽しんで来なよ。」
小さく呟いて、『最期の宴』に向かう背中を見送った。
「君に会いたくて」
名前を呼んでみる。
連絡してみる。
メール?チャット?電話?
色んな方法が溢れていて、悩ましい。
そもそも、いつの話なのさ。
今日?明日?明後日?都合が着く最短日?
今すぐって、結構難しいし、困らせちゃうかも。
《君に会いたいんだ。》
その一言が、とても近くて遠い。
【君に会いたくて】
「美しい」
美しいとは何か。
仏の教えでは、泥中の蓮や清らかな精神性を示すらしい。無垢なる魂とも言えるのかもしれない。
神に連なる聖なる者の教えには、修練を重ねた後の審判において、その可否が下されるらしい。
何をもって美しいとするのかは、きっとわたしの心持ち次第なのだろう。
※閲覧注意※
【美しい】
泥中の蓮の如く、美しい。
どれ程に傷付けられても、傷付いても。
どれ程の苦難に遭おうとも、足掻き藻掻く。
その矜持と誇りを護りたいとさえ思わせる。
泥中に埋まりそうになる度、足を取られかける度に、その手は確かにこちらへ伸びてくる。
引き上げてやるから、掴まれ。
決して離すな、と
その手はいつも暖かく、温もりに満ちている。
愛と情けが溢れていて、縋るべきでは無いのに、縋ってしまう。
いつかその手の主を泥中に沈めてしまうのではないかと恐れ慄いても、それすら振り払う温かな手が己を引き上げていくのだ。