たろ

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※閲覧注意※
IF歴史、タイムトラベラーなモブが居る。
意味不明な世界線。自分だけが楽しい。


《海の底》

沈むしかない。
未来は変えられない。
顛末を知っている者から見れば、海底に沈む運命と断言するべき状況。
その背を推してやるのが餞とさえ思える程に。

何故、あなたが沈まなければならないのか。
あぁ、あなたを救う術はないのか。
愛しい人を、未来ある筈の幼子を、時代と言う名の奔流が押し流していくのを、ただ茫然と見送るしかないのか。


『海の底にも、都はあります。』
時代の勝者か、あるいは後世に記されたであろう伝記の胡散臭い台詞が、耳朶をざわつかせる。

「…なんだかなぁ。」
遣る瀬無く見上げた空は、抜けるように青かった。
良い天気だ、なんて呑気な感想が隣から聴こえてきて、いよいよ身震いした。
「それ、今?アンタが言う?」
呑気な感想を述べた当の本人は、何か問題でもあるのかと嘯いている。
「あー、別に。個人的に、あんま聴きたくなかったなぁ、ってだけ。」
おかしなヤツ認定されている為、また妙な独り言かと、相手は処理した様だった。
『折を見て、木船に乗れ。』
《お前は連れて行かない。》
そう言い切った背中は、いつも通り高揚していて、いつもよりは少しばかり小さく見えた。
「アンタも、楽しんで来なよ。」
小さく呟いて、『最期の宴』に向かう背中を見送った。

1/20/2026, 10:22:40 AM