たろ

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7/20/2024, 11:04:18 AM


「私の名前」


祖母が大喜びで、いや大慌てで?神社に駆け込んで、神主さんが見てくれた。って話は聴いたことがある。
確か、漢字はそれで良くて、読み方は複数あったけど、どちらでも大丈夫ですよと、神主さんは仰せだったと。

祖母は、神様にもらった尊い名だと言い
父は、読み方を家族会議で決めたと言い
母は、家族会議で先に生まれた子が、
『こっちのなまえがよびやすい』と言ったのが可愛くて、決めたと言い
先に生まれた子は、はっきりとは覚えてないけど、言ったかもしれないと言い


その内に年月は流れ、思春期に差し掛かる頃には、友人たちとの呼び合いにさて何を呈示しようかと悩んだりして。
年頃の話題に当時は『初恋の相手の名前』を尋ねられる事が増え、面白可笑しく話したら大変にウケて、今では本名よりもあだ名がしっくり来るなんて、ちょっと可笑しなことになっている。

元気に走り回ってるかなぁ、近所の優しい初恋の相手。
再会したら、ちゃんと挨拶しなくちゃ。
「その節は、大変お世話になりました。私、こんなに大きくなったよ。」
『アンタの相手は、大変だったわよ。』って、ため息吐かれちゃうかな。
大人になってから知ったの、あなたが美人なお姉さんだった事。
ずっとイケメンだと誤解していて、ごめんなさい。

また逢いたいなぁ、たろちゃん。



※お相手の正体は、気の置けない友人にしか、話していないハズ(笑)。

7/15/2024, 1:09:57 PM


終わりにしよう

7/13/2024, 2:34:19 PM


【優越感、劣等感】

※閲覧注意※
オメガバースっぽい表現があります。
巣営(巣作り)中の表現があります。
幼馴染たち、IF世界線。
トラウマ体験あり。



好きな人の匂いに包まれて、あれはこっち、これはココ、と。
きっと喜んでくれると思って、大切に作った巣。
「誰が汚して良いっつったよ、あ?このクズが!」
怒声が降りかかって、無残に破壊された。
「さっさと片付けろ!やり直しじゃねぇか!巫山戯るなよ、テメェ!」
頭頂部に衝撃が走って、鈍い痛みがゆっくりと広がる。
「早く洗濯しろ!きっちり片付けとけ!」
何が起きたのか分からず、目を白黒させていると、肩口をどつかれる。
「…っ、あ。ご、ごめんなさい。」
見上げた相手の目は血走っていて、鬼瓦の様な形相をしていた。
ノロノロと動きの悪い身体を引きずって、洋服の山を抱き上げて、洗濯機がある脱衣所へ向かった。
その人とは、二度と会う事はなかった。


暫く立ち直れず、どんなに好きな人であっても、本能のまま動いてはいけないのだと身を以て理解した。
そうして、本能を抑えるだけ押さえ付けて、ふん縛って、隠しおおせる必要最低限度に留めて、何とか誤魔化していたら、ふと意識を失っていた。

そんな時だった。
あなたに再会したのは。
「かっちゃんが作るおうち、見てみたいなぁ。…いつか、お呼ばれしたいっ。」
あなたは賢くて、根気良く優しく接してくれた。
「あ、オレので良ければ、何でも使って!ココにあるものは、全部かっちゃんの好きにしちゃって大丈夫!パッチワークみたいにバリバリに千切っちゃってもオッケーだから。」
そう言ってクローゼットの中身を見せてくれたあなたは、とても嬉しそうにしていた。



ドア越しに、あなたの声がする。
「ね、かっちゃん?少し休憩しない?寝食忘れちゃってない?キリのいいところで、おやつにしませんか??」
ようやく、ぎこちないながらも落ち着いて巣営できるようになってきた。
「あ、追加資材を置いていくね!素材のリクエストがあったら、教えてね。」
ドアの向こうでガサゴソと音がして、洋服がドア越しに山積みになった状態で、部屋の中に入って来る。
「あと、おやつの差し入れ置いていくね!」
ズルズルと床を滑る音がして、ドアが閉まった。
「―っ、あ。ありがとう。で、出来たら、呼ぶからっ!」
あなたの優しい匂いに包まれて、フワフワと夢心地で追加資材の山に頬をうずめた。
(…幸せ。)
毎回、どんな物が出来上がるのか楽しみにしてくれている優しい人。
「ふふっ、楽しみだなぁ。」
ドアの向こう側で、大きな独り言が零れ落ちたのが聴こえた。

7/7/2024, 10:14:46 AM


『七夕』

彦星様は、牛のお世話が上手な働き者。
織姫様は、神様のお召し物を作る機織り上手な働き者。
織姫様のお父様は、神様を取り纏める神様。

彦星様と織姫様は、ある日出会って恋に落ちました。
お互いに想い合って、
『夫婦になるなら、この人しか居ない。』
と決心して、お父様にご挨拶に行きました。
「お互いに働き者同士、気も合うだろう。良き夫婦になるよう、支え合うのだよ。」
快く祝福してくれた父神様に感謝して、二人は祝言を挙げて夫婦になりました。

若夫婦は新居を構えて、ふたりで暮らすようになりました。
しかし、機織りの音も牛を追う彦星の姿もありません。
ふたりは片時も離れ難く、仕事が手に付かなくなってしまいました。
こんな風に仲睦まじく暮らして、幾星霜。
一向に恋の熱は冷めず、神様方のお召し物の新調は進まずに傷んでいくばかり。
この状況に、織姫様のお父様は二人を別居させる事にしました。

「仕事に身が入らないのなら、別々に過ごしなさい。二人にしっかり仕事をしてもらわないと、困る方々が居られるのだから。1年に一度、会うことは許そう。」
そして、1年に一度の日が決まりました。
7月7日の七夕です。
凡そ晴れることがないこの日には、雨水で氾濫する天の川を越えることができずに二人が会えないとも、それを憐れに思ったカササギたちが天の川に身を以て橋をかけるので、二人はこっそり逢瀬を楽しんで、涙を流すので雨が降るのだとか、諸説あるらしいのです。



お伽噺を初めて聴いたときは、こんな風に思った。
(朝も昼も夜もずっと、一緒に居たいと想い合える人に出会えたら、きっと幸せなんだろうなぁ。)
少し大きくなって思春期にさしかかった頃、お伽噺を読み直したら、違う感想だった。
(父上、心狭すぎんか?好き合ってるんなら、四六時中一緒に居たいやろ。)
さらに大人になってから、七夕祭りなんぞに繰り出して、ちょっとはしゃいだら、また違う解釈が浮かんだ。
(父上、実はお認めになってらっしゃるかも?対外的にけじめがつかないから、雨と雲で隠してそっと逢わせていらっしゃるのでは?)

真相は夢の中。
色んな解釈があっても良いじゃない!
と言う事で。

7/5/2024, 4:35:51 PM

星空

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