※閲覧注意※
IF歴史、軽率なクロスオーバー。
タイムトラベラーなモブちゃんが普通に居るよ。何でも許せる人向け。
《もしも未来を見られたら》
自分の知り得るすべてを伝える事が出来たなら、楽になるのだろうか。
「…くだらぬ。」
癖のある銀色の髪が、ふわりと風に揺らぐ。
「予見ならば、無用だ。答えが知れれば、興が失せる。つまらぬモノになり下がる。」
拒絶された様に思えて、咄嗟に俯いた。
『そう、ですか。失礼しました。』
刀を持つ無骨な掌が、俯いて頭を下げようとした顎を捕らえた。
「お前の住まう世界とやらの夢物語なら、聴かせて貰いたいが?」
頭を下げることも出来ず、そっと視線だけを上向きにすると、紫水晶色の瞳が愉しそうに細められているのが見えた。
「おもしろき事、不可思議なるモノ…。実に、興が唆る。」
喉を鳴らして、愉しげに嗤う姿が様になっていて、敵わないと思い知らされる。
『まずは、何を話しましょうか…。』
転ばぬ先の杖を望む人ではない事が解った。
「…待て。あまねを呼ぶ。」
先の事を、先立つモノに換える気もないようだ。
『えぇ、待ちますとも。』
大好きな人と、非現実的な夢物語を聴く。
純粋な興味だけが感じられて、何を話そうかとワクワクしている自分が居ることに気が付いた。
※閲覧注意※
軽率なクロスオーバーとIF歴史。
何でも許せる人向け。
《無色の世界》
(どうして、こんなことに…?)
自分でなければならなかった理由は特になく、単に馴染みが良いと言う相性の良さだけ。
(体の相性が良いだけ、単なる容れ物の代わり。)
期待などしてはいけない。むしろ、不敬で首が飛ぶかもしれない。
(ダメだ、余計な事は考えない様にしなきゃ。)
色のない世界が、目前に揺蕩う。
花の香りも、誰かの笑い声も、聴こえては来ない。
※閲覧注意※
タイムトラベラーなモブちゃんの気持ち。
何でも許せる人向け。
《届かぬ思い》
そう遠くない未来に、死を以て退去する事が判っている人たちを前に、転ばぬ先の杖も差し出せない自分がもどかしい。
(その時はどうか、苦しみが少しでも減って、穏やかな時を過ごせますように。)
傲慢な祈りとは解っているけれど、それでも願わずには居られない。
苦しさを取り除きたくて傍に侍っていた相手の、最期の呼吸を確認した。
(どうか、望まれるままの黄泉路を辿れますように。迷わず、次の世へ巡る事ができますように。)
そっと、その手を胸に掻き抱いて、白木の香木で作った数珠を握らせた。
(お疲れ様でした。ゆっくりと、お休みください。)
溢れる涙が煩わしくて、乱雑に内衣の袖で目元を拭う。
「逝った、か。」
簾越しに影が動いて、去っていく足音を見送った。
4/14見逃し分↓
《神様へ》
どうかこの身をお使いください。
この身を使って、この世を平らかにして下さい。
すべての人が、あまねく心安らぐ世界となります様、祈りを捧げましょう。
その為ならば、この身がどうなろうと構いません。
あるべき場所へ帰りたいと思う事もありましたが、それが夢のまた夢だとあなたが仰るならば、叶わぬ夢と掃いて捨て置きましょう。
どうかどうか、正しい道を示して下さい。
この身を慈しんでくださった、大切なあなたを喪う未来しかなくとも。
私の未来が喪われようとも。
あなたが選ぶ最善が、人の世の最善と正道である事を、願います。