※閲覧注意※
タイムトラベラーなモブちゃんの気持ち。
何でも許せる人向け。
《届かぬ思い》
そう遠くない未来に、死を以て退去する事が判っている人たちを前に、転ばぬ先の杖も差し出せない自分がもどかしい。
(その時はどうか、苦しみが少しでも減って、穏やかな時を過ごせますように。)
傲慢な祈りとは解っているけれど、それでも願わずには居られない。
苦しさを取り除きたくて傍に侍っていた相手の、最期の呼吸を確認した。
(どうか、望まれるままの黄泉路を辿れますように。迷わず、次の世へ巡る事ができますように。)
そっと、その手を胸に掻き抱いて、白木の香木で作った数珠を握らせた。
(お疲れ様でした。ゆっくりと、お休みください。)
溢れる涙が煩わしくて、乱雑に内衣の袖で目元を拭う。
「逝った、か。」
簾越しに影が動いて、去っていく足音を見送った。
4/14見逃し分↓
《神様へ》
どうかこの身をお使いください。
この身を使って、この世を平らかにして下さい。
すべての人が、あまねく心安らぐ世界となります様、祈りを捧げましょう。
その為ならば、この身がどうなろうと構いません。
あるべき場所へ帰りたいと思う事もありましたが、それが夢のまた夢だとあなたが仰るならば、叶わぬ夢と掃いて捨て置きましょう。
どうかどうか、正しい道を示して下さい。
この身を慈しんでくださった、大切なあなたを喪う未来しかなくとも。
私の未来が喪われようとも。
あなたが選ぶ最善が、人の世の最善と正道である事を、願います。
4/15/2024, 11:50:30 AM