たろ

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4/13/2024, 1:25:45 PM

※閲覧注意※
軽率なクロスオーバーとIF歴史。
モブちゃん2号。活きが良い方。
好戦的な野生児。
神様は容量が大きいので、人間2人分に分けたよ。


《快晴》


「見るべきものは、見た―――。」
退去と覚悟が決まった、その合図。
水面を揺らして、海底へと堕ちていく体躯。
沈むための細工を施したのは、絢爛な死装束。
「あんな派手な死装束じゃ、地獄の門番も黙ってないよな。」
黄泉路でも、きっと華々しく大立ち回りして、獄卒たちと喧嘩三昧だろうなぁと、苦笑いする。
「さぁて。こちらも、お役御免かな。」
元現代っ子としては、切腹とか自害とか怖すぎるので、海には入るけど!
「ドザエモンも、ホントはヤなんだけどなぁ…。」
他人を傷付けるのも、苦しいのも痛いのも本当はイヤでイヤで堪らなかった。
でも、生きる為には仕方がないと、ストンと納得してしまった。
「グレちまったなぁ…。ちゃんと生きて行けるのかね、あっちで。」
真っ当に生きる自信がなくなった、なんて家族がひっくり返る未来しか浮かばない。
「うへぇ、何でこのタイミングで思い至るワケ?だー!何が何でも帰ってやるぞ、コンチクショウ!」
手当たり次第、近くにいた可哀想な敵方の雑兵の首根っこを掴んで、海の中に飛び込んだ。
まだ生きていたい雑兵達は、自分を足蹴にして海面へ戻って行った。
(これで、ホントに戻れんの?)
沈んでいくのを感じながら、一抹の不安が過ぎる。
(おーい、龍神様やー?ちょ、マジで死ぬんだが??)
死ぬ判定が必要なやつか?これは。
『ふぁあ、おはよう。世話になった。ありがとう。私は、空へ還ろう。息災でな。』
のんびりとした声が響いて、鈴の音が鳴り響いた。


美しいせせらぎの音から、水面を藻搔く繁雑な五月蝿い音に変わり、溺れる様な感覚から、陸へ打ち上げられた魚の様に意識が衝撃を以て浮上した。
「大丈夫ですか?聴こえますか?」
救出されたばかりの溺れかかった体が、酸素を欲しがってはくはくと口元を揺らす。
(溺れ死んだかと思った。…生きてる?)
声にならない声。周りが思ったよりも五月蝿くて、掻き消されそうだ。
「どうしました?声が聴こえますか?」
こくりと頷くと、乾いてベタつく口腔内を無理矢理動かして、鈍い声帯を無理矢理震わせて、絞り出す。
「すいません、寝てたみたいで。」
か細い蚊の鳴くような声が、ひよひよと出てきた。
周りを忙しなく動いていた女性たちが、どっと笑う。
「うん、寝ちゃってたのね?起きられて、良かったです!良かった、良かった!」
バイタル?が落ち着くまでの処置が終わって、まだ少し血圧が低いのと、同じ様な事があると手狭だから、部屋が変わると説明されて、ベッドに寝かされたまま、何処かへ移動した。

取り敢えずは、戻って来れたらしい。

4/12/2024, 2:37:49 PM

※閲覧注意※
軽率なクロスオーバーとIF歴史。
モブキャラが普通に居るよ。
何でも許せる人向け。


《遠くの空へ》

良くあると言われる兄弟喧嘩という名の手合わせが、眼の前で繰り広げられている。
雅な広い屋敷の中にある広い庭に不釣合な、激しい剣戟の音が響き渡っているのだ。
「よさないか、お前たち。御子が怯えている。」
暖かくて大きな掌が、恐怖に震える背中を擦ってくれる。
恐る恐る振り返って見上げると、優しい面立ちの男性がふわりと笑った。
「いつも弟達が、すまない。毎度のことながら、気にしないで貰えるとありがたいが。…ふむ、しかし終わりそうにないな。」
どうしたものか、と思案顔をした青藍の瞳がすっと細められた。
「御子殿、ご一緒戴こう。あぁ、ご覧戴きたいものがあるのだ。」
青色の着物に包まれた腕に、体ごと抱き上げられてしまう。
『はわゎ!あ、歩きます!ごめんなさい、重たいから、降ろしてください…。』
だいぶ高い位置に抱き上げられてしまい、困惑するやら怖いやらで、結局抱き上げてくれた眼の前の人に縋る。
「いい加減にしなさい、ふたり共。御子殿は、私が預かるからね。」
剣戟の音を背に、その場を後にする穏やかなその人。
「落ち着いたら、迎えに来させよう。」
始まると長いのだと言って笑う青色を纏うその人に、身を委ねた。
(腰が抜けてるの、バレてるんだろうなぁ…。)
妻子も余裕もある大人な男性が、血の繋がりもなく擬似的に伯父となるのは、不思議な事に思えた。
「あぁ、そうだ。あまねの君にも、話をしておこう。御子殿を怖がらせる愚弟には、灸が必要だろう。」
剣戟の音の向こうから、女性の声がした。
「聴こえていたか。あまねの君に、挨拶をしても良いかな。」
振り返ると、庭の中ほどに銀色の髪がキラキラと光を反射していた。
剣戟の反射は影を潜めて、音も静かになっていた。

抜ける様な青い空が、広がっていた。

4/11/2024, 3:32:10 PM

※閲覧注意※
IF歴史?
軽率なクロスオーバー?
すぐ泣き真似してぐずる悪い大人が居るよ。
あと、普通に絡まれるモブちゃんが居るよ。
何でも許せる人向け。

《言葉にできない》

声が出ない。
その状況に慣れるまでは、ひたすらに戸惑い、意気消沈し、咽び泣いた。
鬱々とした日々を暫く過ごして、漸く諦めも付いた頃、さめざめと泣きながら繰り返した手習いの筆談で、何とか意志疎通が図れるようになってきた。

(…呆れた。)
眼前でさめざめと泣く振りをする銀色の髪が、嗚咽のようにフワフワと震えていた。
「引き留めて下さいと、お伝えしたではありませんか。どうして、引き留めて下さらないのです。」
引き留める力など、持ち合わせていないし、まず頼まれた憶えがない。
(勝手な事ばかり言って…。)
眼の前の人は、いつも自分を責め立てては、さめざめと泣く振りをする。

「…来い、暁。」
簾越しに声がしたので、立ち上がって声の方へ向かおうとすると、袖を踏まれて後ろへ引っくり返り、身動きが取れなくなる。
「お待ち下さい。御用向きならば、私が。」
するりと簾の向こうに出て行く銀色の髪を茫然と見送って、慌ててその背中を追い掛けた。
「退け。俺は、暁に用がある。」
同じ銀色の髪が、紫水晶の色の双眸が、似通った背丈が、眼の前に2人分。
「退きません。私は、あなたに用があります。」
険呑な雰囲気がふたりの間に流れる。
「今日こそは、お付き合い頂きますからね。お覚悟を。」
雰囲気に呑まれた足が竦んで、身動きが取れない。そこに、言葉が伝わらない人を挟んで、自分を呼んだ人が向こう側に居るので、ふたりを遠巻きに眺めるしか無かった。
(ドッペルゲンガー?いやいや、双子?)
悪戯好きな狐や狸が、人真似の為に化けたのかと思う程そっくりな見た目に、絶句した。
『そっくりさん、かな?』
間違いなく喚ばれた筈なのに、蚊帳の外に放り出された様な気がして、眼の前のそっくりな2人を茫然と観察する。
『いやいや、現実逃避しちゃ駄目だから!』
静かに言い争う様なやりとりがあって、ふたりの背中が庭先に降りて行くと、突然手合わせが始まった。
激しく剣戟を交わす音が響く。
驚き過ぎて、目を白黒とさせていると、カクンと膝が折れた。
(な、何これ。怖い怖い怖い。)
階段の傍にある擬宝珠に縋り付いて、恐怖に竦んで震える体をかろうじて支えた。

4/10/2024, 11:12:26 AM


「春爛漫」

満開の花、花、花。
様々に咲き乱れる様子は、まるで百華繚乱。
爛漫に燦めく、耀くばかりの春がある。
咲き誇る花々を慈しんでは、美酒を片手に愛でる贅沢たるや。

忙しなく降り頻るは、桜の花弁。
駆け足の春を追って、人の波は右往左往するようだった。
散り行く花を見送れば、萌木が若芽を纏って、新緑の柔らかな緑に心癒される。

4/9/2024, 1:21:48 PM

誰よりも、ずっと

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