人は愚かだ。
人は、他者との関わりの中にコンプレックスを生む。他者が先へと進めば進むほど、先へ進めない自分の影が際立つ。やがてその影は大きくなり、程なくして自分自身を飲み込むまでになる。
人は影だ。
影はやがて小さな舟を生み出す。小舟は影に浮き、気まぐれに進む。速くなったり遅くなったり、時には戻ったり。そうしているうちに舟はある島にたどり着く。足跡があるが、名前のない島。舟はそこで長い時間をかけ、島と一体化する。
人は名前のない島だ。
島はどんどん大きくなり、やがて山脈となる。山脈は豊かに実り、生態系を構築する。生命で溢れた山脈に、人は憧れる。どうやら溢れる生命が輝いて見えるようだ。人は光り輝く生命に愚かに惹かれ、昔自身が「そう」であったことに気づかない。
やがて人は、他者が自分であったことに気づくのだ。
ネコは可愛いなぁ
何がかわいいって、
全体に丸みを帯びた手
広げても一つ一つが丸い手
裏を向けたらもっと丸いのがある手
ピンとはった耳
薄く細い血管が透けて見える耳
たまに途中で折れていても気づかない耳
ちいさな顔に大きな目
ちょっとした物音で大きくなる目
時間や気分でクッキーみたいに丸々する目
まだまだ書ける。もうやめとこ。
きみがいるから頑張れるんだよ。
きみが嬉しそうに笑うのが好きだ。
モーツァルトのような君の笑い声
ほんのり暖かくてホッとするんだ。
悩みに悩んで、あなたにLINEを送ってみた。内容を考えてたら止まらなくなってしまって、なんども書いたり消したり書いたり消したり……そんなLINE。
勇気を出して紙飛行機のボタンを押した。
「既読」が気になる。
あなたにとどいてるかな?
ちゃんと読んでいてくれてるのかな?
読んでくれたら嬉しいけど、日頃LINEなんかほとんど送らないし、もし引かれてたら怖いな……。
「新着メッセージがあります」
空が紫色になった頃
朝焼け
眠れなかったから、少しクラクラする
猫も、犬も、会社も、静かに寝息を立てている
未来を考えた
これからどうなるんだろう。このままでいいのかな。これからの僕は、笑えているのかな。
少し目が滲んだ。ダメだ、考えても仕方ない。
心にもない前向きなことを考え、僕は僕を励ます。
これでいいんだ。
これでいいんだ。
たくさんの「僕らしさ」でできた虎の毛皮を被って
ちいさな僕は、大きくなっていく。