人は愚かだ。
人は、他者との関わりの中にコンプレックスを生む。他者が先へと進めば進むほど、先へ進めない自分の影が際立つ。やがてその影は大きくなり、程なくして自分自身を飲み込むまでになる。
人は影だ。
影はやがて小さな舟を生み出す。小舟は影に浮き、気まぐれに進む。速くなったり遅くなったり、時には戻ったり。そうしているうちに舟はある島にたどり着く。足跡があるが、名前のない島。舟はそこで長い時間をかけ、島と一体化する。
人は名前のない島だ。
島はどんどん大きくなり、やがて山脈となる。山脈は豊かに実り、生態系を構築する。生命で溢れた山脈に、人は憧れる。どうやら溢れる生命が輝いて見えるようだ。人は光り輝く生命に愚かに惹かれ、昔自身が「そう」であったことに気づかない。
やがて人は、他者が自分であったことに気づくのだ。
9/4/2024, 12:15:36 PM