『怖がり』
「あんたが嫌い。」
え、?
「いつも何かを怖がって、自分から歩みはじめることなんてしない、あんたが大嫌い。」
だ、だって仕方ないじゃないか、
「でも、怖がりなあんただからこそできることもあって、だからもっと嫌いよ」
そ、そんな僕にできることなんて…
「人の気持ちを慎重に聞き出したり、察することが得意なのに大事なところは怖がって理解しようとしなかったり」
怖いものは怖いから仕方ないじゃないか、!
「でも、私にはそんなことできないから、怖がれるあんたか羨ましい」
からかってるのかよ、!
「でもね、私あんたのおかげで初めて怖かったの」
「な、なんでですか…」
「あんたに、怖がりなあんたに好きって伝えて、ふられることが…!!」
「 よろしくお願いします 」
『星が溢れる』
星が溢れた、そんな夜私たちは動けずにただ溢れてしまった星を見ていた。
美しい炎を周りに纏い、一直線に溢れてきた星。
隣にいる彼女を見ると何だかこのまま死んでしまうのも悪くないと感じてしまう。
この世界では私たちは幸せになれないから。
この傷物の体では君はあまりに美しすぎるから。
私の勝手な意思で君を死なせてしまうことになって申し訳ないけど、溢れた星で心中。
というのもなかなかに美しい響きだ。
溢れた星が大きな音を立て、落ちてくる。
私たちはお互いの手をぎゅ、と握り最後の接吻をした。
大丈夫、来世ではきっと、きっと私が君を探し出して、見つける頃にはきっと、私たちも幸せになれる世界になっているはずだから。
君がいて、もう怖くないよ。
私たちは今、溢れ落ちてきた星に来世への切符を頂きました。
ごめんね、私はあなたのことが大好きだったよ。
そんな言葉も最後に呟けぬまま激しい光と爆音が私たちを次の世界へと送り出してくれた。
『安らかな瞳』
(一時めも)
『ずっと隣で』
ずっと隣に居れると思っていた。
ずっと隣で眠ることが出来ると思っていた。
ずっと隣で笑いあえると思っていた。
ずっと隣で愛し合えると思っていた。
ずっと、ずっとずっと一緒だと。
「思っていたのにな。」
『もっと知りたい』
君のことならなんでも知りたい。
どんな色が好きか、どんな幼少期をすごしたか、
ふふ、もちろん好きな人がいるかどうかもね?
でも、君は私のことを何も知ろうとはしてくれない、だから私は一方的に君のことを知ることになる。
今日はいつもより一本遅い電車で行くんだね。
今日はいつもとは違う帰宅ルートで行くんだね。
今日は交番の前を通るんだね。
「お巡りさん助けてください…!」
君は交番に駆け寄ると同時に叫んだ。
何があったの?大丈夫なの?どうしたの?
そう思って立ちつくしていると、警察官らしき人達がこっちに向かって歩いてきた。
嗚呼、そういう事か、理解したよ、ごめんね君のことはなんでも知ってるつもりだったけど私のことが嫌いなことは知らなかった。
でも私はそれでも、君のことを“もっと知りたい”