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10/16/2022, 10:37:57 AM

私はやわらかいものが好きだ。

そのなかで特に好きなのは、親友である君の笑顔と、午後5時ぐらいの…冬である今なら午後4時か3時ぐらいのあの光。

美術部は変な時間に終わるから、ちょうど下校するときに私の好きな光になる。

大好きな君は絵の具で汚れた手を洗わないめんどくさがりやだ。
どうせお風呂に入るから、って。かえったらすぐ入るタイプだから、って。なんとなく誇らしげに言う。

私はあそぉ、と返して、楽しそうに歌をうたって微笑んでる君を見てる。あ、ちょっとスキップしないでよ、スキップって歩くのより速いんだから!ちょって待ってってば

歌いながらふりかえって、目だけで「はやく」って言ってくる。なんだか憎らしい!けど愛おしい。

1パーセントしかない憎らしさを100パーセントに見えるようにして、私は君を追いかけた。

10/15/2022, 4:27:15 AM

空を飛べる友人がいる。
好物はたまごの入ったサンドイッチ。

なぜ飛べるのか、と昼食を食べている時に聞いた。(言うまでもないけど、友人はたまごの入ったサンドイッチを食べていた。いつもそれだ。)

「私が天使だから」
「ふうん…」
なんとなく辟易した。こともなげに言うもんだから。

「飛んでみる?」
「…ええ?」

下校しようと昇降口に来た時に誘われた

「ほら、空中散歩だよ」
「ものはいいようだね」
「口達者ってよく言われる」

友人と私はハグをするような体制で空へ上がっていった。ハグというか、必死に掴まっている風だけど。

「怖い!怖い!!」
「怖くない怖くない」

いやこわいって…

なれたら悪くなかったけどさ

10/12/2022, 1:50:10 PM

放課後…アウトドアでも、まして外交的でもない僕は、放課後にともだちと遊ぶとか、そういうのはあまりしたことがないのだれけど。

だからといって、放課後が楽しくないわけじゃあないのだ

僕を縛るものから解放されたその自由な時間は、僕にまっしろな羽をくれる。

何をしよう?

本でもいい。勇敢な戦士になって異世界を冒険しよう

映画でもいい。美しい一葉一葉に心を揺さぶられよう

ゲームでもいい。たくさんの人とすれ違おう

思い切って散歩でもいい。坂を下ったら海がある

アイスを食べるのもいい。のら猫はじとっと見つめてくるだろう

何をしよう? 

楽しいことはたくさんある。放課後なのだから、時間だってたくさんある。

何をしよう?

まっしろな羽を広げて、僕は放課後を飛んでいった。

10/11/2022, 12:47:12 PM


なびくカーテン。絵に描かれるのは優雅に美しく揺蕩うように舞うカーテンだけれど、
おあいにく、
私の思い出じゃあ黒板を写すのを邪魔してきたり、
窓に濡れたみたいに張り付いた、そんな優雅とはいえないのがカーテンだ。

だけど、あ…いや、だから、

あの瞬間のぶふぁりと力強く波打った、あのカーテンを強く胸に刻めている。

斜陽は賢くそこに光をさして、風は得意げに吹いた。髪の毛は処世術に少しも逆らわずに視界に入り込む。
黒板は眠っている。窓枠にくり抜かれた明かり。

美しいとはまさにあの光景を指していて、自分は神の気まぐれでそれを見せてもらえたのだと分かった。

美しいを見た瞬間、自分は洗われて、とても純粋なものになれた気がした。

不恰好なカーテン。だけれどあの時は、ものすごく優雅だった。

9/16/2022, 12:27:59 PM

空は孤独…、だろうか。

私は詳しくないけれど――本当に詳しくない、残念だけど――この地球にあるあの青い空を、他の星で見たことがない。

あったとしても、ずぅっと遠く…声の届かない所なんじゃないかな。
自分と同じでないものばかりあふれた世界は、うん、…きっと孤独だ。

あ、いや、でも私たちがいるのか。

ちっぽけでなんの頼りにもならないけど、それでも空には私たちがいる。植物や、他の生き物だっている。
もしかしたら、雲とは親友かもしれない。

それなら、空は孤独じゃない。

雨は悲しいんじゃなくて、雲の上のパーティーが楽しすぎて思わず降らしてしまうのかも。

雷はおこってるんじゃなくて、太陽とのお喋りが嬉しすぎてパチパチしてしまうのかも。

それなら安心だ…。空は孤独じゃない。空は泣いてない。空は…ずっと元気に笑ってる。

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