なびくカーテン。絵に描かれるのは優雅に美しく揺蕩うように舞うカーテンだけれど、
おあいにく、
私の思い出じゃあ黒板を写すのを邪魔してきたり、
窓に濡れたみたいに張り付いた、そんな優雅とはいえないのがカーテンだ。
だけど、あ…いや、だから、
あの瞬間のぶふぁりと力強く波打った、あのカーテンを強く胸に刻めている。
斜陽は賢くそこに光をさして、風は得意げに吹いた。髪の毛は処世術に少しも逆らわずに視界に入り込む。
黒板は眠っている。窓枠にくり抜かれた明かり。
美しいとはまさにあの光景を指していて、自分は神の気まぐれでそれを見せてもらえたのだと分かった。
美しいを見た瞬間、自分は洗われて、とても純粋なものになれた気がした。
不恰好なカーテン。だけれどあの時は、ものすごく優雅だった。
10/11/2022, 12:47:12 PM