ね。

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12/28/2025, 7:59:29 AM

「この凍りを溶かすことができるのは、ただ1人選ばれたものだけ、と言い伝えられています。」
白く固まった鏡を指さして、添乗員は言った。



ボクは今、年末謎解きツアーに参加している。分かっているのは集合場所だけで、どこに行くのかは分からない。ネットで見かけた広告に興味をもち、面白そうだな、と1人で申し込んだのだ。当日、指定された時間に、とある駅前に集まったボクたち参加者は″ミステリ謎解きツアー″とポスターが
貼られたバスに乗り込み、小一時間ほどバスに揺られ、着いた邸宅の中に案内され、今この鏡の前にいる、というわけなのだ。





「実は、この参加者の中に、その″選ばれたもの″がいらっしゃいます。今日はその方をみなさんで見付けてほしいのです。」
添乗員は、参加者を見わたし、にっこりと微笑んだ。




参加者は、13名。ひとりひとり胸に好きな名前を書いたネームプレートをつけている。簡易な名前が多く、みな本名ではなさそうだ。男女比はぱっと見半々、といったところか。いや、男女の判断をしてしまうのはこのご時世ナンセンスかもしれないな、と思う。
添乗員は、参加者にQRコードがいくつか載っているプリントを配り、それぞれ好きなものを選び質問に答えていくよう指示した。ボクは右下のQRコードを読みとり、質問を読んだ。身長体重、朝食べたもの…なんだか健康診断のようだな、とおもいつつ最後までいくと、送信ボタンをぽちっと押した。



全員が終わると、添乗員はひとりひとりに小声で何かを伝えはじめた。みな、びっくりした顔をしている。ボクの番になると、「選ばれたものは、あなたです。」と、添乗員は言ってまたにっこりと微笑んだ。




「今から、シンギングタイムです。この邸宅の中にヒントがあります。お好きなお部屋など入っていろいろ探してみてください。お食事は食堂にあります。いつでも召し上がっていただけるようになっております。時間制限はありません。ご自由にどうぞ。」



…時間制限はない?
その言葉に異様さを感じたものの、ボクはお腹が空いていたので、真っ先に食堂に向かった。思ったより豪華な料理が並んでいた。ボクの他に5名ほど食事をしている人がいた。とくにみな喋ることをせず、ひたすら口を動かした。
そもそもこのようなツアーに参加するのはボクみたいな変わった人が多いんだろうな、とボクは思った。





お腹が満たされた頃、鏡のある廊下から悲鳴が聞こえた。慌てて行ってみると、凍りついた鏡が割られていた。
怪我人はいないようだが、一体どうしたのか?




そのとき、

「鏡が割られてしまっては、謎解きをすることができません。この謎解きツアーは、謎を解かねば終わりません。そのため、大変申し訳ありませんが、参加者のみなさまはこの邸宅から出ることができないのです。」
と、添乗員が薄気味悪い笑顔を浮かべ、参加者全員に聞こえるように大声でいった。




ボクは意味が分からず、呆然とした。
いや、そんなはずはないだろう。
何かのドッキリか?頭の中でいろいろな考えがぐるぐるする。
数名の参加者が、玄関の方へ走りドアを開けようとした。その瞬間、ビリッと電気が走りその人たちはその場に倒れ込んだ。生きているか、死んでいるか、ここからでは分からない。何をどうしたらよいのか、もうここから出られないのか、参加者みな下を向いていた。ボクは、改めて鏡をみた。まだ壁に残っている部分がある。そこに映るボクをみた。顔面蒼白だった。しかし、良く見るとボクの横に小さな頃のボクの姿が映っている。そして、ボクの右ポケットを指さしている。ボクは自分の右ポケットに手を入れ、そこに入っているスマホを取り出す。
画面をみると、『END』と書いてあった。
ボクは迷わず、画面をぽちっと押した。



…………


気がつくと、ボクは自分の部屋にいた。手にはスマートフォン。画面には、バスツアーの広告。



あれは夢だったのか?
ずいぶん生々し夢だったな…
最近スマホみすぎてるかもな…
冷や汗を拭いながら、ボクはスマホの電源をOFFにした。


12/27/2025, 6:34:17 AM

「おかあさん、よるがあかるいね。」
外をみたこぎつねは、うとうとしながら言いました。


朝早くから降りはじめた雪は、夜にはこぎつねの体が半分埋まってしまうくらいまで積もりました。しんしん、ずんずん、と、積もっていく雪の中を大はしゃぎで駈けまわり、遊び疲れたこぎつねはもうへとへとです。



「雪は、いろんなものを明るくしてくれるのよ。お前のこころも明るくなって、今日はたくさん遊んだわね。」
と、おかあさんは言い、こぎつねの頭を優しく撫でました。




すでにお目々が半分閉じているこぎつねは、おかあさんのあったかい手を感じながら、…ああさむいけど、ゆきはあかるさをくれて、なんだかぽかぽかしていいきもちだなあ…、と思いながら眠りにつきました。

12/25/2025, 1:18:44 PM

誰に 祈りを 捧げますか?
何に 祈りを 捧げますか?

誰かや 何かを 大切にすることは
とても 美しい ことかもしれません


しかし
本当に 大切にすべき なのは
自分自身 
ということも 忘れては なりません


祈りは 自分自身にも 捧げるの です

12/25/2025, 7:52:26 AM

こんにちは!
わたしたちは、森にすむ精霊。
森の奥の、そのまた奥の、だーれも知らない場所にいます。大きな木の根元に、深ーい深ーい穴があって、そこをいつも見守っているの。そして、その穴は、Xmasの夜にだけ光るのよ。
さて、今日はXmas。
誰かやってくるかしら?


実はね、数年に1度くらい、迷った旅人が偶然に、その穴を見付けることがあるの。
寒い寒い12月の終わりに、もう死ぬかもしれない、と思いながら、ふらふらと森を彷徨っている旅人が、光に引き寄せられるように木のもとにやってくるの。
大体の旅人は、光のあたたかさに安心して、穴に気づかず、そのまま眠ってしまって…2度と起きることはないのだけど…







あ、誰か来たわ!





木に辿り着いた旅人は、すぐに穴を見つけ興味深そうに中をのぞき込んでるわ。珍しいこともあるものね、今まで誰も穴に気づかなかったのに…
あ!勢いよく穴に飛び込んじゃった!
大丈夫しら?穴の中に入ったものはいないのよ、どうなるのかわからないわ…



わたしたちはその様子を見守ることしかできないのよ…




∞∞∞∞∞




どのくらいたったかしら。
ぴょこん、と、旅人は穴から出てきたの。




そして、
「ああ 幼いころに死んでしまった、母さんが…。」
と、ひと言つぶやいて、穏やかな笑みを浮かべ、目を瞑ったわ。息はしているから、眠ってしまっただけのよう。



不思議。
今までここに辿り着いて、生き残った者はいなかったから。
もしかしたら、この穴の中は生命力を与えてくれるなにかがあるのかもしれない、わたしたちが忘れてしまった、遠い日のぬくもりを感じられる大切なものがあるのかもしれないわね。




∞∞∞∞∞∞



目を覚ました旅人は、元気良く立ち上がり、穴に一礼をし、歩きはじめたわ。暗い夜道に1本の光の道がある。ずっと先に続くその光は、穴から出ているわ。なんて綺麗な輝きなの!
そこを辿っていけば、旅人は、きっと故郷に戻ることができるのてしょう。



12/24/2025, 8:06:00 AM

毎年クリスマスの夜に、この街の人々はたくさんのキャンドルの真ん中に立つ。
大人も子どもも、みな、そうするのだ。
そして、キャンドルの灯がどのように揺れるかをみる。


大きく揺れる者は、右側の部屋に進む。
小さく揺れる者は、左側の部屋に進む。

まれに、全く揺れない者もいる。
その者は、教会に残り、街のために祈りを捧げる者となる。



キャンドルの揺れは、心のあらわれだと、昔から言い伝えられており、あまりに揺れが酷い者は、異端者とみなされ、すぐに処罰されてしまう。


クリスマスがこの街の人々にとって、どれだけ辛いものか。それぞれの部屋に別れたあとは、血のつながりは関係なく、家族の組み合わせをされて、新たにまた1年を過ごすことになる。
あまりにも理解しがたい風習なのだが、ずっとそうやって過ごしてきた街の人々にとっては、当たり前のことであり、街で生きていくためには、受け入れるしかないものなのである。


今夜はクリスマス。
街の教会では、今、たくさんのキャンドルに灯が灯されはじめている。



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