「おかあさん、よるがあかるいね。」
外をみたこぎつねは、うとうとしながら言いました。
朝早くから降りはじめた雪は、夜にはこぎつねの体が半分埋まってしまうくらいまで積もりました。しんしん、ずんずん、と、積もっていく雪の中を大はしゃぎで駈けまわり、遊び疲れたこぎつねはもうへとへとです。
「雪は、いろんなものを明るくしてくれるのよ。お前のこころも明るくなって、今日はたくさん遊んだわね。」
と、おかあさんは言い、こぎつねの頭を優しく撫でました。
すでにお目々が半分閉じているこぎつねは、おかあさんのあったかい手を感じながら、…ああさむいけど、ゆきはあかるさをくれて、なんだかぽかぽかしていいきもちだなあ…、と思いながら眠りにつきました。
誰に 祈りを 捧げますか?
何に 祈りを 捧げますか?
誰かや 何かを 大切にすることは
とても 美しい ことかもしれません
しかし
本当に 大切にすべき なのは
自分自身
ということも 忘れては なりません
祈りは 自分自身にも 捧げるの です
こんにちは!
わたしたちは、森にすむ精霊。
森の奥の、そのまた奥の、だーれも知らない場所にいます。大きな木の根元に、深ーい深ーい穴があって、そこをいつも見守っているの。そして、その穴は、Xmasの夜にだけ光るのよ。
さて、今日はXmas。
誰かやってくるかしら?
実はね、数年に1度くらい、迷った旅人が偶然に、その穴を見付けることがあるの。
寒い寒い12月の終わりに、もう死ぬかもしれない、と思いながら、ふらふらと森を彷徨っている旅人が、光に引き寄せられるように木のもとにやってくるの。
大体の旅人は、光のあたたかさに安心して、穴に気づかず、そのまま眠ってしまって…2度と起きることはないのだけど…
あ、誰か来たわ!
木に辿り着いた旅人は、すぐに穴を見つけ興味深そうに中をのぞき込んでるわ。珍しいこともあるものね、今まで誰も穴に気づかなかったのに…
あ!勢いよく穴に飛び込んじゃった!
大丈夫しら?穴の中に入ったものはいないのよ、どうなるのかわからないわ…
わたしたちはその様子を見守ることしかできないのよ…
∞∞∞∞∞
どのくらいたったかしら。
ぴょこん、と、旅人は穴から出てきたの。
そして、
「ああ 幼いころに死んでしまった、母さんが…。」
と、ひと言つぶやいて、穏やかな笑みを浮かべ、目を瞑ったわ。息はしているから、眠ってしまっただけのよう。
不思議。
今までここに辿り着いて、生き残った者はいなかったから。
もしかしたら、この穴の中は生命力を与えてくれるなにかがあるのかもしれない、わたしたちが忘れてしまった、遠い日のぬくもりを感じられる大切なものがあるのかもしれないわね。
∞∞∞∞∞∞
目を覚ました旅人は、元気良く立ち上がり、穴に一礼をし、歩きはじめたわ。暗い夜道に1本の光の道がある。ずっと先に続くその光は、穴から出ているわ。なんて綺麗な輝きなの!
そこを辿っていけば、旅人は、きっと故郷に戻ることができるのてしょう。
毎年クリスマスの夜に、この街の人々はたくさんのキャンドルの真ん中に立つ。
大人も子どもも、みな、そうするのだ。
そして、キャンドルの灯がどのように揺れるかをみる。
大きく揺れる者は、右側の部屋に進む。
小さく揺れる者は、左側の部屋に進む。
まれに、全く揺れない者もいる。
その者は、教会に残り、街のために祈りを捧げる者となる。
キャンドルの揺れは、心のあらわれだと、昔から言い伝えられており、あまりに揺れが酷い者は、異端者とみなされ、すぐに処罰されてしまう。
クリスマスがこの街の人々にとって、どれだけ辛いものか。それぞれの部屋に別れたあとは、血のつながりは関係なく、家族の組み合わせをされて、新たにまた1年を過ごすことになる。
あまりにも理解しがたい風習なのだが、ずっとそうやって過ごしてきた街の人々にとっては、当たり前のことであり、街で生きていくためには、受け入れるしかないものなのである。
今夜はクリスマス。
街の教会では、今、たくさんのキャンドルに灯が灯されはじめている。
がんばったからさ、
もう これ以上、がんばらなくていいんだよ
素敵だね
生きてるって 愛だよね
自由なんだよ
全てをわたしが創り出すんだ
さあ
いこう
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光の中を歩く夢をみた。