谷間のクマ

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7/25/2025, 9:57:10 AM

《もしも過去へと行けるなら》

「そうだ春輝、ちょっといいか?」
 夏休みも目前に迫った7月下旬。俺(齋藤春輝)が自宅で郵便物を選り分けていると、双子の弟の蒼戒が夕飯を作りながら声をかけてきた。
「? どしたの蒼戒」
 蒼戒の方から声をかけてくることは正直あまりないので不思議に思って返すと、「別に大したことじゃないんだが」と蒼戒はためらいがちに口を開く。
「今日の国語で作文の課題が出ただろう。あれのお題、何だった?」
「あ、そっか今回もくじ引きで決めたから全員違うんだっけ」
「ああ」
「えーっと俺はー……、なんだったかな」
「おい」
「いやいやいやいや別にやらないつもりとかじゃないから! 単純にド忘れしただけだから!」
「いや論点そこじゃなくてだな……」
「とすると、お前また厄介なヤツ引き当てたわけ?」
「御名答……」
「え、何当てたの?」
「《もしも過去へと行けるなら》」
「……まーた厄介なの引き当てたねぇ……」
「だよな……」
「むしろ引が強いというかなんと言うか」
 春に似たような課題が出た時、蒼戒は《もう二度と》と言うお題を引き当てていて、その時も何を書くか迷っていたっけ。ちなみに俺はその時《謎》で心霊現象について書いたんだよな……。
「うるさい。ただ本当に何書こうかと思って……」
「《もしも過去へと行けるなら》、ねぇ……」
 本当に過去へと行けるなら、やりたいこと、するべきことはたくさんあるだろう。それこそ、姉さんが死ぬような未来が訪れないように、できることが。
「うーーん、こりゃ難しいねぇ……。嘘書くわけにもいかねーし」
「そこなんだよな……」
「ま、本気で書いたら辛いのが目に見えてるくせにマジでやることないと思うけど」
「それはそうだな……」
「んじゃあそれこそ『あの時』まで戻るんじゃなくて昨日やり忘れたこととかでいーんじゃね?」
「それだ! それでいこう」
「解決した?」
「ああ。ありがとう春輝」
「いーってことよ。んじゃま今度数学の問題教えてよ」
「ああ」
 というわけで蒼戒の悩みはなんとか解決したようで、その日の夕飯はやたら豪華だった。
(おわり)

一応かなり前の《もう二度と》シリーズの続きになってます!

2025.7.24 《もしも過去へと行けるなら》

7/24/2025, 10:05:18 AM

《True love》

書きたいけど時間がない!!

2025.7.24《True love》

7/23/2025, 10:01:38 AM

《またいつか》

書けたら書く!

2025.7.22《またいつか》

7/22/2025, 10:03:25 AM

《星を追いかけて》

書きたい気持ちはあるんだ……!時間がない!!

2025.7.21《星を追いかけて》

7/21/2025, 9:56:39 AM

《今を生きる》

「……あれ蒼戒、お前まだ教室いたの? 次生物教室だぜ?」
 とある日の授業の間の休み時間。俺(齋藤春輝)は生物教室から忘れ物を取りに来たところ、もうすぐ授業が始まるってのに教室にいる双子の弟、蒼戒の姿を見つけて言う。
「……あれ、そうだったか」
「そ。実験やるんだって。お前も行かなくていいの?」
「そうだすっかり忘れてた……。急がないと……」
 蒼戒はそう言って慌てて立ち上がる。
「また生徒会?」
 俺は蒼戒の席の机の上に散らばった書類を見て言う。
「……まあそんなところだ」
「と言うことは生徒会ではないな」
 俺は経験から判断して言う。蒼戒がそんなところ、と曖昧な言い方をする時は、別のことに気を取られていた可能性が高い。
「お前な……。人のこと疑うのも大概にしろ」
「ごめんごめん。で、どしたの?」
「……少し、考え事をしてただけだ」
 蒼戒は生物の教科書を持って生物教室に急ぎながら言う。
「……姉さんのこと?」
 俺はそれを追って生物教室に向かいながら問う。
「……なんでわかるんだ」
 蒼戒はギクリと立ち止まってこちらを見る。
「んー、強いて言えば経験、かな」
「は、はぁ……」
 俺たち双子には姉がいた。ずっと前に、死んでしまったけれど。蒼戒はその姉さんによく懐いていたから、今でもこうして悩んでいることがある。そういえばそろそろ8月。お盆になる。お墓の掃除してやらなきゃなー。
「別にこれでどうこう、ってわけじゃないけどさ、授業にゃ遅れんなよ? 俺たちがいるのは《今》だ。授業中くらいは《過去》に縛られてるわけにゃいかねぇ」
「……わかってる……」
「どうだか。……お前あんま顔色良くねーよ? 頑張るのはいいけど、絶対無茶だけはするな」
 ちなみにこいつは一度疲労でぶっ倒れた前科があるので油断はできない。
「……わかってる」
 とりあえず生物教室に着いたので、この話は一旦ここでお開きになった。
(おわり)

なんかめちゃくちゃー……
2025.7.21《今を生きる》

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