tifon

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6/23/2024, 1:32:20 PM

知らないことばかり
初めてのことばかり
楽しいことばかり

どんどん歩く 追いかけると飛び立つ鳥
道端に落ちている 触るとジジジ暴れるセミ
踏めばカサカサ 風に舞い上がる枯葉
ある朝突然 真っ白な世界 冷たい冷たい肉球

今はもう 何でも知ってる
自転車の音 バイクの音 トラックもへいき
カミナリと花火はちょっと嫌だけど
いつも家族といっしょ 何も心配ない

最近仲間入りしたおチビさん
まだ何も知らないみたい
尻尾ふりふりついてくる
噛んじゃだめだよ 吠えちゃだめ

こっちにおいで いっしょに遊ぼう
楽しいことだらけだよ



「子供の頃は」

#449

6/20/2024, 3:42:12 AM

防波堤に並んで座る

日傘に入れば 波音が響いて

海を見つめる ふたりきり



「相合傘」

#448

6/18/2024, 2:05:07 PM

子どものころ 底なし沼に落ちた

実際には底なしではなくても
水と土の微妙な量のバランスで
泳ぐことのできない
もがくほど沈む恐ろしい泥沼になる

きれいな湧き水で知られる土地で
蝶を追っていた夏の日
池のほとりは水草が茂っていて
どこまで地面かわからないまま

踏み込んだ足がすっ、と吸い込まれた
ポチャンと水に落ちるのではない
泥の中にゆっくり沈んでいったのだ
頭は真っ白で声も出ない

蝉の声も消えた静寂の中で
身じろぎもできぬまま膝、腰、胸と
もう目を閉じるしかないような瞬間
対岸から駆けつけた父が引き上げてくれた

全身小さな浮草と泥まみれ
蝉の声が戻ってきても放心していたっけ

慣れぬ土地の池や沼、
どうか皆さまお気をつけて



「落下」

#447

6/15/2024, 2:03:00 PM

好きな本を、好きなだけ選びなさい 

街に出て 家族で食事をした帰り道
かならず大きな書店に立ち寄ると
父は皆にそう言って
30分ほどそれぞれに書棚の間を巡る

思い思いの本たちを手に集合、お会計
二重にした大きな紙袋を両手に下げて歩く父
早く新しい本の表紙をめくりたくて
わくわく高揚した気分で辿る家路

帰宅後は互いに見せあったり
早速読み耽ったり
嬉しい楽しい恒例行事
幸せな時間だったな

あの輝く時間の思い出と
本に囲まれた暮らし
父からの何よりの贈りもの
あらためて、ありがとうお父さん



「好きな本」

#446

6/15/2024, 2:14:37 AM

わんこ連れにはニクい空
レーダー刻々にらめっこ

降るの?降らんの!?
どのタイミング?

今しかない!と飛び出して
それでも始まるポツポツリ

増えてく地面の水玉もよう
途中からはあきらめて

行こう行こう濡れていこう
ブルブルしぶきをまき散らせ



「あいまいな空」

#445

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