予報どおりは概ねスルー
外れたときには大不評
明日を占う人のこころは
勝手だけれど仕方ない
励めば易し 怠れば危うし
時を待てば叶う 養生すれば治る
(That’s right, that’s right)
ところによって降る雨は
降ればヤッパリ 降らねばラッキー
誰にもわからぬ未来だけれど
「ところにより雨」
ほどよく用心 結果オーライ
「ところにより雨」
#55
父がよく口ずさんでいた曲
母が大切にしていたオルゴール
夫の手作りアドベントカレンダー
こどもたちの描いた絵
折々のカード
共に読んだ本の一冊一冊
愛しい人たちとの
思い出の時間を閉じ込めた
たくさんのものたち
ひとつひとつが
心をあたためてくれている
特別な存在
「特別な存在」
#54
B-A-K-A バ!カ!
バカみたい!は
自分に向けて叫ぶんだ
頑張り過ぎてる?
悩み過ぎてる?
遠慮し過ぎてる?
我慢していて
苦しいのなら
もう!バカみたい!
大きな声でそう言って
机を叩いて立ち上がれ
足踏み鳴らしてドアを開け
バカな自分を蹴り出しちゃえ
「バカみたい」
#53
ひとりぼっち
ふたりぼっち
隔絶された 親密と孤独
1000億銀河のなかにある
地球のうえの80億人ぼっち
親密になりきれない
あまりに孤独が深すぎて
「二人ぼっち」
#52
繰り返し夢にみる場所がある
壁のように急な坂の底にある建物で
中に入り見上げると
天井がぼやけるくらい高い
その高い天井に向かって立つたくさんの書棚
書店なのか図書館なのかはわからない
書籍に満ちた静かな空間
書架の間の細い通路をゆっくり移動する
なかなか目あての本は見つからないが
焦る気持ちもなく ただ
背表紙を次々と目で辿っていく
そのうち何故か夕闇が迫る気配がして
帰らねばと思うのだ
坂道と書棚と夕闇
ああ またここに来たなと思う
不安も焦燥もない 静かで穏やかな場所
いつか日が暮れるより前に
探していた一冊を見つけ
坂と塔のある街での暮らしが始まるだろうか
「夢が醒める前に」
#51