気づいたら終点の駅の名前が呼ばれていた。夏休みに入り、何か1つ記憶に残ることがしたいと思っていた僕は目的地も何も決めずに一人旅に出ることにした。不安と高揚感と好奇心等々色々な感情が心の中で混ざり合いなんだか絶妙な不協和音を奏でている。とりあえず電車を降り、どこに行こうかという思考をめぐらす。しかしまだ胸がザワついているせいか上手く思考がまとまらない。なんだか人生の未来の分からなさを感じたような気がした。
最近悪いこと続きで負のループに陥ってしまっている。社会人4年目の私は営業で相手方の地雷を踏んでしまい、契約が無くなってしまったり、パソコンのデータを消してしまったり(これについては会社のパソコンのスペックの低さが原因だと思っている)後輩にかっこいい所を見せれなかったりと色々悪い事が重なり精神的にかなりきつくなっている。そんなある日祖母からメールが来た。
「みなみへ 人生上手くいかなくたって良いです。完璧な人生なんてありません。生きていることに感謝し楽しい人生を歩んでください。おばあちゃんより」
心が前を向いた気がした。
彼女は花を育てる事が好きだった。あの人の家へ行くと、いつも花壇の近くで花に声をかけながら水やりをしていた。そして、花の匂いに誘われた虫たちも、受粉を促してくれると彼女は大いに歓迎し可愛がっていた。そんなあの人の家へ行くといつもお茶とお菓子を出してくれるので、僕は学校終わりはいつもあの人の所へ行くのが楽しみだった。沢山の花に囲まれた彼女の遺体を見ながらそんなことを思い出す。ああどうか喋よ花よ彼女に届けて欲しい。伝え忘れていた感謝の言葉を。
僕が家出をして冒険に出ることは事は、多分最初から決まってたことだったんだと思う。父と祖父が探検家の家系に生まれた僕は小さい頃から小さい頃からどこかに出かけることが大好きで、よく一人で色々な所へ行っては遅くまで家に帰らず騒ぎを起こしていたのは今となっては良い思いでだ。そんな昔のことを思い出し、背中に背負った荷物の重みを感じながら目指すべき場所へ足を進める。僕の冒険は始まったばかりだ。
毎朝教室で見る君の顔は、いつでも朝日のような笑顔で僕を包んでくれる。本物の太陽が見えない雨の日だって、快晴の朝のような気持ちで一日を迎え入れることが出来るのは君のおかげだ。これからの未来でどんなことが起きるのかは分からないけど、そんなことどーでもいい。今君と笑っていられるこの日常さえ続いてくれれば他には何もいらない。だって君は僕にとっての太陽だから。