書上 創

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3/21/2025, 12:56:05 AM

孤独だった私の手は、空を掴むばかりだった。
そんな私に、大切な人ができた。

その人の手は暖かくて、私より一回り大きな手。
その手と自分の手を繋いで、変わらない街の風景を歩いて楽しんでいた。

繋いだ手を離したくない、このままでいたい。
このまま、一緒に歳をとって
しわくちゃになっても、同じように手を繋いでいたい。
貴方の手は、私の日常に優しい温もりを添えてくれる。

その手を私の両手で包み込んで、伝える言葉は
「ありがとう」「愛してる」のありふれた言葉。

それを何度でも、貴方と繋いだ手を通して伝えてく。

3/13/2025, 3:18:20 AM

始まりがあるものには、なんであれどんなものにも終わりがある。
人々の人生も、そんなものだろう。
終わりがあるから、始まる物語。

人の一生は、いつか来る終わりを飾る彩だ。
終わりのない物語には、始まりなんてない。
終わるからこそ、始まり、その物語が深いものになるんだ。

3/2/2025, 4:14:07 AM

雨上がり、陽の光が雲間から差し込む。
今、新しい葉が芽吹く。
枯れた大地に、小さな芽がひとつ。
やがて、その小さな芽は大きな森を築くだろう。

その芽吹きは命の始まり、誰も知りえぬ芽吹きは、
やがて人々の憩いの場として、知れ渡ってゆく。

3/1/2025, 2:19:02 AM

手のひらに差す陽の光の温もり
それは、あの時に握った君の手のひらの温もりに似ていた。

だからってこの手はずっと温いままじゃないし、
それに君が戻ってくる訳じゃない。

やがて手のひらの温もりは冷めてゆく、
あの日君の手を離した僕の手はすっかり冷えきって、
今はもう空を掴むばかりだ。

2/9/2025, 9:28:29 AM

優しいあなたの背中を追いかけてばかりいた、自分も優しくて頼れる人間になろうって努力していた。

そんな理想が散ったのは、つい最近だった。
私はあなたの葬儀場に来ていた、線香の匂いが鼻につく。
やけに小さな骨壷に入ったあなたは、あの頃の高い背丈が嘘みたいだ。

遠かった背中は、とうとう消えてしまったみたいだ。
あなたの遠ざかった背丈は、もう見えない。
冬の白い雪が、あなたの墓に白いベールを被せている。
雪のしんしんと降り積もる世界に、あなたの記憶が埋もれてゆく。

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