どんなラッピングを選ぼうか?
水色の水玉模様、ピンクのハート柄、オレンジのヒヨコ模様…
どれもかわいいけれど、彼にはふさわしくない。
諦めて、シンプルな青と金のラインの入ったリボンを買う。
それを白い箱に巻いて、リボン結びにして
出来上がり
今日は彼の誕生日だ、プレゼントは彼の欲しがっていた腕時計。
でも、重要なのはそこじゃない。
今までお世話してくれたお礼を、手紙に書いて添えた。
喜んでくれるといいんだけどな
くるくると回る羅針盤の針は、
どこもさしてはくれない。
さまよう羅針盤の針
頼りきりじゃだめだ
自分の道は、自分で決めなくちゃならない。
とうとう動かなくなった羅針盤を砂の上に置いた
砂漠を進む旅人は、星の導を頼る。
長い旅時に、羅針盤は置いていかれた。
そしてただ、羅針盤は朽ちてゆく。
小さなガラス細工…
その中には綺麗な星座モチーフの図柄が描かれている。
それを、月明かりに透かす。
キラリと光ったそれは、まさに星のまたたきのようで
私は、その輝きに見とれていた。
昔から、大好きだった天体観測。
今の都会に来てからは、街明かりが眩しすぎて星が見えないから。
だから、誕生日に小さな星座を買ったんだ。
最初から、完璧であろうとする方がどうかしてるんだ。
人は誰しも、不完全で…だから、他の人を頼るんだ。
…それを教え続けてくれる"誰か"が居た。
…"先生"、貴方は今、どこでなにをしていますか?
もう一度…叶うなら、貴方に会いたいです。
貴方のあの優しい声を、瞳を、言葉を忘れた事は
一度もなかった。
あの夏、貴方は突然、僕たちの学校から消えた。
『_…またね、みんな』
青空の下、やけに穏やかな貴方の顔だけが
まぶたの裏に焼き付いて、離れないままでいる。
降りしきる雨は、未だ止まず。
涙すらかき消して、悲しみすら揉み消してゆく。
…ああ、私は…誰だったのだろうか。
私は、大切な何かを亡くしたまま…それを忘れた。
まただ、また…同じ誤ちを繰り返してしまった。
結局、また『君』を救えなかった。
涙の雨は、降り止まず。
血の雨は、大地を紅く染める。