りんご

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4/26/2024, 6:02:03 AM

お題 流れ星に願いを
    流れ星に願いを
流れ星? 願い事? 私はそんなロマンティストではない。子どもじみたことは時間の無駄と捉えている。妻はいる。子どももいる。若かりし頃の面影を、今の私に見るやつはいない。野心に燃えたぎり、すべてを燃やすほどの勢いで突っ走り、妻には朝食と昼食の弁当と夜食を作ってもらっていた。幼かった娘は毎週末
「パパと公園」
と叫びながら飛び起きた。けれど、その娘は中学で出会った男とうまくいかずに隣アパートの屋上から飛び降りて昏睡状態だし、妻もすっかり衰えて気力を無くしているから実質ひとりだけ。妻と娘をあの世に送ることも考えた。初心の職場で出会い、メールなどをしていた女性との結婚を考えているからだ。妻子など捨てることはいとも簡単ではあるが、やはり躊躇うものがあった。かつては好き合った夫婦だし、子どももかつては愛情をめいっぱい注いだ娘だ。こうなれば妻も娘も縁を切って50歳という区切りを迎え、別の女性と歩み出してもいいのではないか。縁さえ切ればいいというものではないけれど、そうなれば再婚も許されるし、どこかでばったり、なんてことは百万分のいちだ。
 と、思った私は愚かだった。妻に離婚届を出させてくれと頼むと断られ、

4/25/2024, 6:54:33 AM

お題 ルール
     ルール
 「どれみ、ちょっと、あれヤバない?」
「スカートめくりの次いじめ覚えたらしい。」
学校で流れる嫌な噂。ルールを守らない奴のいたずらのことだ。

4/23/2024, 10:31:48 AM

お題 今日の心模様
      今日の心模様
 心模様? 毎日同じに決まってるじゃないか。いつも何もないんだ、僕には。
「もう、あなたとはやってけないわ。」
何回、この言葉でふられたことだろうか。きのうも、僕の家柄めあてですり寄ってきた女ひとりにふられた。そいつは僕と結婚して莫大な財産をひとりじめにしようとしてたんだって、学友が言っていた。ふらレたら、負けじと言い返すつもりはない。もともと好きではないから。
「あ、そう。お幸せに。」
それだけ言えばいいんだ。あ、それで心模様はいつも灰色。アホらしいだろーが、学友のなかには研修生と恋に堕ちてるやつがいるらしいんだ。先輩学生は研修女子生徒と結婚したらしい。
「おい。おまえ、課題提出したか?」
しまった。やってしまった。ああ、今の心模様は真っ黒だ。課題提出先はあの強面教師。最悪だ。とっちめられて、下手したら宙吊りか?

4/22/2024, 9:34:55 AM

お題 雫
    雫                        
 「母さん、ここさあ。ほんとに、氷柱みたいな雫があったのさあ。」
あぁ、これはこの家の少年の声だ。母親を引っ張って私を見に来たんだね。
「だってさあ、西森中の姉ちゃんたちが【氷柱みたいだ】【インスタ映えする】って言ってたの、聞いてたんだもの。」 
「嘘おっしゃい。雨も降ってないのに、あるわけないでしょう。」

4/20/2024, 11:58:31 PM

お題 何もいらない
       何もいらない
 【伊藤美穂子さん
       明後日、親戚の開くパーティがあります。ぜひいらしてね。 
 追伸 美穂子、あいかわらず地味なドレスなの?】
美穂子はペンを動かしていた右手を止めて届いた手紙を見た。白い便箋に品のある筆跡で書かれた文字をみると、この手紙の送り主・山田小鈴を恨めしく思う。
【山田小鈴さん
      ぜひ行かせていただきます。
 追伸 お楽しみのようでなにより。】
皮肉を付け足すと封筒に入れて住所を入れ、そばの箱にポンと入れた。
「ペン、インク少なくなってきちゃった。」
ふと思い出し、立ち上がって箱を持つ。めんどくさそうにスマホを手に取り、スニーカーを履いて外に出た美穂子は家の前のポストに箱の中身をざらざらと入れてまた気だるそうに家に入っていく。
(あいつに…….、小鈴に恥かかせられるならもう何もいらないわ。)
別の部屋に行ってクローゼットを開けると、中には美しい模様のドレスや化粧道具が詰まっている。
「小鈴の旦那さんは清弘さん。好みは蝶だったわね。 てことはこれだわ。義昭くんの好みは……..。」
ドレスを選びぬき、会場に来そうな人の好みをミックスした小物やアクセサリーに散りばめ、それとなく統一感が出るようにもととなる色はすべて白で通す。

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