お題 流れ星に願いを
流れ星に願いを
流れ星? 願い事? 私はそんなロマンティストではない。子どもじみたことは時間の無駄と捉えている。妻はいる。子どももいる。若かりし頃の面影を、今の私に見るやつはいない。野心に燃えたぎり、すべてを燃やすほどの勢いで突っ走り、妻には朝食と昼食の弁当と夜食を作ってもらっていた。幼かった娘は毎週末
「パパと公園」
と叫びながら飛び起きた。けれど、その娘は中学で出会った男とうまくいかずに隣アパートの屋上から飛び降りて昏睡状態だし、妻もすっかり衰えて気力を無くしているから実質ひとりだけ。妻と娘をあの世に送ることも考えた。初心の職場で出会い、メールなどをしていた女性との結婚を考えているからだ。妻子など捨てることはいとも簡単ではあるが、やはり躊躇うものがあった。かつては好き合った夫婦だし、子どももかつては愛情をめいっぱい注いだ娘だ。こうなれば妻も娘も縁を切って50歳という区切りを迎え、別の女性と歩み出してもいいのではないか。縁さえ切ればいいというものではないけれど、そうなれば再婚も許されるし、どこかでばったり、なんてことは百万分のいちだ。
と、思った私は愚かだった。妻に離婚届を出させてくれと頼むと断られ、
4/26/2024, 6:02:03 AM