【明日世界が終わるなら】
『明日世界が終わるなら何をしたいですか?』って永遠に人に質問されるテーマだと思う。
私は聞かれたら「大好きな人に会いたい」と答える。
大好きな人に会って、自分の想いを伝えて、出来るなら抱き締めたい。いや、最後の日なんだから抱き締める。怒られても良いし嫌われても良いよ、だって最後なんだもの。
最後の日に大きい夢なんてなくていいの、小さくても夢があればいいの。それだけで幸せになれるんだから。
でも世界が終わるなんてないと思うけど、もし終わると知った時のために色々頑張らなきゃね。
いつか最後の日じゃなくても大好きな人に想い伝えられたらいいな。
【二人だけの秘密】
今日は私の家に友達が来て、テレビを見ながら成人式の話をしていた。
「ねえ海未は成人式出るの?」
「高校進学の時期に志望校の偏差値で人の上下が勝手に決められて蔑まされてた時みたいに大学の偏差値でまたやられるなら出ないよ。彩は出たいの?」
「それは同感だね、私も出たくない」
中学生時代に自分のクラスだけ異様に荒れていて、苦しくて相談しても私のことや彩のことなど可愛げのない邪魔な子どもにしか見えなかったからか教師は見放したのであんまり成人するこのタイミングになっても信頼してない。それに同級生も彩以外みんな見下して来ていたのは同じだったし、高校生になってもどうせ変わってなかったしな。
だから地元ほど窮屈で不満で邪魔なもんはないよ。
「二人だけの秘密、作って欲しい」
「いきなりどうしたの?」
「成人式に出ない代わりに二人だけでアイツらも親も誰も知らない秘密の旅行がしたいの」
「初めての二人の秘密がそれだけでいいの?」
「違うよ、今から作って行くの。今日はあなたの誕生日だから二人だけでお誕生日会をするの」
「それも秘密ってことかあ。じゃあこれから二人に起こること全部二人の秘密ね?」
これでいいの、これから起こることは全部二人だけの秘密。ずっとよろしくね。
【善悪】
この世に善悪ってものがあってさ、あなたは善人か悪人かって聞かれたらさ分からないんだけどね。
でも善悪って消えて来ているんじゃないかってとても思う事があるんだ。
それはね自分が助かるために何か悪いことをしてもなんか善い行いって認められちゃうし、誰かを助けるために善いことをしても悪い行いって言われてしまうし。
だから人いじめたり、人を助けたりしても善悪がはっきり決まらないんだよね。
人をいじめるのは悪いことで、人を助けるのは善いことなはずなのに。
まあこんなふうになってしまうのもこの世の中の理不尽って思っておけばそれで良いのかね。
【流れ星に願いを】
僕は学校帰りに立ち寄った駅前の本屋の中で目が合った女性に一目惚れをしてしまった。
その女性は読みたい本があるのかは分からないが、一生懸命に本を探していた。
自分はそれが気になってしまって、ずっと見ていた。
悲しそうな顔をする事もしばしばあったが、やっとの思いで見つけたお目当ての本を手に取った時の彼女の表情が綺麗だった。
彼女が視線をこちらに移した時、僕と目が合った彼女は僕に嬉しそうな顔を向けてくれた。
その時に僕の胸が痛くなって、恋をしてしまったことに気付いた。
急いでお店を出て、その翌日からずっとあの店に立ち寄ったが会えなかった。
それに年上の人に恋をしたという恋愛相談が出来る友人もいないのだから、どうすればいいかなんて分からなかった。
そんなある日の事。天気予報では今夜は流れ星が見れると言って、学校中で大騒ぎだった。友達がいない僕でも大きい声で流れ星の話をされてしまえば、期待をするしかないだろう。
これで彼女に会えるのならなんだってするさ、もう一度あの表情が見たいんだ。
そして夜になって、僕はちょうど駅前にいた。
沢山の星が流れ始めて、僕は三回願いを唱えた。
彼女から見たら年下でイケてない男になるかもしれないけど、会いたいんだよ。
そんなことを思っているうちに星は流れ終わってしまって、その場にいた人は散って行った。
僕はその空を眺めながら「お付き合いできるかは分からないけどお会いできるといいな」と呟いた。
その後誰かに『君のお願い叶ったかな?』と聞かれて、その誰かの方を振り向いた。
それはあの日に本屋で出会った彼女で僕はさらにドキドキしてしまった。
「お久しぶりです、僕のお願いは叶いましたよ」
それを聞いた彼女は『じゃあ私のお願いも叶えてもらおうかな』と笑って言っていた。
教師から『お前は調子に乗りすぎ』だと言われたくないがために色んなルールを守るのに精一杯だった私。
だけど教師にいつも優遇されているのはルールを守らない方なことを知ってしまった時から私はルールを守ることがどうでもよくなりそうだった。
ルールを守ってなくてもスポーツや勉強が出来るやつが優遇されて、そうじゃなくても可愛げがあれば優遇されるんだって小学生で知って、そいつらが人をからかって遊んでも志望校の偏差値で人を見下しても、教師は全部ノリとか仲良くなりたいという言葉を発言するだけで済むのだと中学生で知った。
『あなたもそっち側じゃないの?』って感じた?
そんないい思いをするような事、この国で生きる権利や櫻木花音という名前を貰って生きてても1回もなかったわよ?
まあいいわ、私は卒業するまでルールと自分を守るだけ。あなたもどちらかにいるにしろ、ルールと自分だけは守りなさい。