【善悪】
この世に善悪ってものがあってさ、あなたは善人か悪人かって聞かれたらさ分からないんだけどね。
でも善悪って消えて来ているんじゃないかってとても思う事があるんだ。
それはね自分が助かるために何か悪いことをしてもなんか善い行いって認められちゃうし、誰かを助けるために善いことをしても悪い行いって言われてしまうし。
だから人いじめたり、人を助けたりしても善悪がはっきり決まらないんだよね。
人をいじめるのは悪いことで、人を助けるのは善いことなはずなのに。
まあこんなふうになってしまうのもこの世の中の理不尽って思っておけばそれで良いのかね。
【流れ星に願いを】
僕は学校帰りに立ち寄った駅前の本屋の中で目が合った女性に一目惚れをしてしまった。
その女性は読みたい本があるのかは分からないが、一生懸命に本を探していた。
自分はそれが気になってしまって、ずっと見ていた。
悲しそうな顔をする事もしばしばあったが、やっとの思いで見つけたお目当ての本を手に取った時の彼女の表情が綺麗だった。
彼女が視線をこちらに移した時、僕と目が合った彼女は僕に嬉しそうな顔を向けてくれた。
その時に僕の胸が痛くなって、恋をしてしまったことに気付いた。
急いでお店を出て、その翌日からずっとあの店に立ち寄ったが会えなかった。
それに年上の人に恋をしたという恋愛相談が出来る友人もいないのだから、どうすればいいかなんて分からなかった。
そんなある日の事。天気予報では今夜は流れ星が見れると言って、学校中で大騒ぎだった。友達がいない僕でも大きい声で流れ星の話をされてしまえば、期待をするしかないだろう。
これで彼女に会えるのならなんだってするさ、もう一度あの表情が見たいんだ。
そして夜になって、僕はちょうど駅前にいた。
沢山の星が流れ始めて、僕は三回願いを唱えた。
彼女から見たら年下でイケてない男になるかもしれないけど、会いたいんだよ。
そんなことを思っているうちに星は流れ終わってしまって、その場にいた人は散って行った。
僕はその空を眺めながら「お付き合いできるかは分からないけどお会いできるといいな」と呟いた。
その後誰かに『君のお願い叶ったかな?』と聞かれて、その誰かの方を振り向いた。
それはあの日に本屋で出会った彼女で僕はさらにドキドキしてしまった。
「お久しぶりです、僕のお願いは叶いましたよ」
それを聞いた彼女は『じゃあ私のお願いも叶えてもらおうかな』と笑って言っていた。
教師から『お前は調子に乗りすぎ』だと言われたくないがために色んなルールを守るのに精一杯だった私。
だけど教師にいつも優遇されているのはルールを守らない方なことを知ってしまった時から私はルールを守ることがどうでもよくなりそうだった。
ルールを守ってなくてもスポーツや勉強が出来るやつが優遇されて、そうじゃなくても可愛げがあれば優遇されるんだって小学生で知って、そいつらが人をからかって遊んでも志望校の偏差値で人を見下しても、教師は全部ノリとか仲良くなりたいという言葉を発言するだけで済むのだと中学生で知った。
『あなたもそっち側じゃないの?』って感じた?
そんないい思いをするような事、この国で生きる権利や櫻木花音という名前を貰って生きてても1回もなかったわよ?
まあいいわ、私は卒業するまでルールと自分を守るだけ。あなたもどちらかにいるにしろ、ルールと自分だけは守りなさい。
今日の天気は晴れ、私の心も晴れ!
『なんで』って? 気になっている君たちのために教えて差し上げようじゃないか!
それはだね、大好きなお姉さんに会えるからだよ!
大好きなお姉さんに会うといつも『凛ちゃんこんにちは』って言ってくれるのだ。
そんなふうに優しく話しかけてくれる大人は私の中であのお姉さんしかいない。
ほかの大人たちは私のことが可愛げのない子供に見えて嫌いみたい。
なら私もお姉さん以外には嫌われているんだからお姉さん以外嫌いになっていいよね?
私がいじめられていたってお姉さん以外は助けてくれないんだもの。お姉さん以外を嫌う理由なんて明確じゃない。
でも別にいいわ、私にはお姉さんだけいればいいの。
お姉さんがいればね、私の心の天気は晴れなの。
じゃあ良い天気だからお姉さんに会ってきます!
SNSのおかしなルールにいつも縛られている私。
そのルールは必ずアカウントの名前を本名にしなければならないこと。
しなかった場合は同級生による強制アカウント名晒しが実施される。
この間も同級生の女の子が自分の本名が嫌いでSNSの名前をカトレアにしたら、その場でアカウント名を晒された。その上、彼女の友人関係について口を出したり、本名をいじって遊んでいた者たちが手のひらを返すように『可愛いのに』といっていた。
ああ、地獄だ地獄。
でもこれが間違いだったとしても、謝罪をすることや認識の変化は起こるわけがない。だってみんなクズだもの。