piyo

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9/4/2025, 9:52:13 AM

『先生っ、私が卒業したら、付き合ってください……っ!』

ページをめくる手を止め、そのままベッドに後ろから倒れる。

「はーぁ、そろそろこの展開見すぎたな……」

秘密の愛って憧れるよねぇ〜……
敵同士なのに付き合ってるーとか、王族と貧民の恋〜とか、それこそ同性愛とかだってそう。最近は少し認められつつあるけど、昔は全然認められてなかったっぽいし。
でもその中でも私のイチオシなのが〜……

生徒と先生の禁断の恋!!!

やっぱり身近だけど身近じゃないって言うか……年の差があるからこそのドキドキというか!!
現実じゃあ認められないし許されないけど……創作だからこそって感じの設定だよね。

最近生徒と先生の漫画ばっかり読んでるけど、そろそろ見過ぎて展開が分かっちゃうようになっちゃったんだよなぁ。ちょっと趣向を変えてみるか……

ここまでが昨日までの私。

あの後早速実行ってことで、本屋に行ってみた。
色々興味深い漫画が置いてあったけど……いまいちすごいグッとくるような作品が無かったんだよね……。
もちろん漫画は全部素敵だったけど、今日は趣向を変えるために来たんだ。って感じで、少女漫画じゃなくて少年漫画を見てみた。
そしたらなんと、めっちゃ心に来たんだよね!

少年漫画に興味が出たから、お試しで一冊、二冊くらい買って店を出た。

そして今に至る。

少年漫画に心打たれ過ぎて、あれから何度もあの本屋さん訪れている。
つまり、私はもっと好きな本の幅が増えたということ!やっぱりたまにはこういうのも大事だな、って思ったよ。相変わらず秘密の愛とか禁断の恋とかは好きだけどね。

ちなみに、そのご贔屓にしてる本屋の店員さんとちょっといい感じなんだけど……

恋愛禁止らしいし、これも秘密の愛……だよね?


#secret love 0903

9/1/2025, 6:04:52 AM

去年よりも少なくなったような蝉の声に耳を傾けながら、私はバスの中で暑さを凌いでいた。

「もう夏休みも終わりかぁ〜」

今日は夏休み最後という事で友達と遊ぶことになっている。窓の外に視線を向けながら、感傷に浸っていた時。
目的地に着いた私は席から立ち上がりバスから降りた。

「なおちゃーん」

少し歩いたところに友達が見えた。

「お待たせ〜、待たしてごめんな」

「大丈夫やで!全然待ってへんし」

「ありがとうな」

どこぞのカップルのような会話を済ませて、私達は花火大会の会場へと向かった。

まだ花火には早い、午後5時のことだった。


#8月31日、午後5時 0831
※エセ関西弁です、不快な思いをさせてしまったらすみません

8/30/2025, 11:53:51 AM

私達はふたりでひとつ。
生まれた頃から一緒に生きて、何をするもずっと一緒。
頭と頭をくっつけて、一緒に寝てた頃が懐かしいなぁ。

さて、そんな私達はもうすぐいなくなるみたい。
お医者さんにもそう言われちゃった。
けつごうそうせいじ?っていうやつらしい。

「みーちゃん、私達もうすぐいなくなっちゃうんだって。」

「かなしいね、にーちゃん」

生まれた頃から頭をくっつけていた私達は、なんだか周りから変な目を向けられていた。
お父さんとお母さんは毎日謝ってきた。私達には、何でかはわからなかったけど。
それでも愛してくれていることはわかってたから、良いけどね。

今日で私達の命は消えちゃうけど、ここにちゃんと居たっていう事実は消えないよね。

私たちは最期まで頭をくっつけて、手を繋いで寝た。


#ふたり 0830

8/29/2025, 6:55:14 AM

朝。
夏独特の匂いがする。
気まぐれにカーテンを開けて外を見れば、緑色の夏草がそこら中に生い茂っていた。
今日は何故だか目覚めが良い。いつもなら起きてからも暫くゴロゴロと布団の上をのたうち回っているが、今日はすぐに立ち上がることが出来た。

考え事もそこまでに、開けたカーテンをそのままにしてキッチンへ向かった。
朝食はいつもトーストをチンしてそのまま食べているが、やはり何故か気分が良いので少し焼いたトーストにレタスやハムを挟んでみた。

たまにはこういうのも良いな、と思いながらトーストを貪っているうちに、手元から無くなってしまった。

外に出て散歩をしてみる。
明るい水色の空に緑色の夏草。さっき窓から見た景色を間近で見てみると、少し嬉しくなった。

「おはよう」

誰も居ない青空と生い茂る夏草に向かって、まだ言っていなかった挨拶をした。


#夏草 0828

8/28/2025, 7:36:22 AM

君が足りない物はここにある。
だから、おいで。

貴方は私の目を見てそう言った。
だけど、私はその目に応えなかった。
だって、その目には後悔の色が滲んでいたから。

だから、私は逆に言ってやった。

「私が足りないのは、貴方の方なんじゃない」

貴方は今にも涙が溢れそうな目を見開いて、私のお墓の前で辺りを見渡した。

「私は何時までも待ってるから、長生きして」

遂に零れ落ちた涙が地面を濡らした直後、貴方はこう言った。

「愛してる」

貴方が足りないものは、ここにある。


#ここにある 0827

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