Naninu

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8/19/2025, 10:45:55 AM

なぜ泣くの?と聞かれたから、理由を言った。

言ったら笑って言い返された、「重いね」と。
友人から見ると物事を重く捉えすぎているのだそうだ。私は。

私はそんなつもりはなかったのだが。

友人は欠伸をしつつ続ける。
「そんなんじゃあ、いつまで経ってもそのままだよ」

そのまま。現状維持。停止。私の人生にとっての良い所であり悪い所だといつも思う。
私はかわらないものが良い。安心するから。

私は友人に言い返す。
「仕方ないじゃないか。私は私の過去を歩いてきてしまったんだから。」

隙ありというように言われる
「そういうところさ。君の良くないところは。まあでも、いい所でも、ある。」

優雅に頬杖をつきながらこちらを見てくる瞳の、なんと美しいことか。

「君はね、考えすぎるし思いやりすぎるし正直すぎる。素直な君は素敵だ。だがね、
この世界はそんなに綺麗に出来ていないんだよ。そろそろ気がついているとは思っているけれど。


縹色を揺らしながら友人は綴る。

「もっと、君らしいことがあるんじゃないかと思うのさ。やりたいことをやりなよ。君の綺麗さが侵されないように。させないように。声をあげろ。歌を歌え。よく寝て、食べて、最後にはいっぱい笑うんだ。己を十二分に謳歌して、結果的には大往生を!!」

にこ、と笑い白い毛並みを擦り付けてくる。

「君はひとりではないから。」

小さな手を頬に伸ばしてくる。ピンク色の肉球が頬の熱をいくらかマシにしてくれた。

そうして友人は満足したような笑みで目を閉じた。最後とはいえまったく壮大な話をしてくれたものだ。


もう泣かないよ。

6/16/2025, 2:09:59 PM

記憶の地図を辿っても
綺麗な場所なんて到底見つかりようもなくて
白のペンキを無理に流し込んだ結果のヒビ割れやまだ乾いてない場所もある、味気なくて、何も無いようであるような。薄っぺらいものばかり。
色を探しても元々なかったのか、今の僕に認識する能力がないのか。分かりやしないのだ。
そして今覚えていると思っているこの地図、この記憶は果たして現実であっただろうか
夢か、幻覚か、記憶か。
どれかと判断するのは俺だがその核たる私は核たりえる存在なのか。
周りの誰か他人に存在を否定されはしないが俺の生きている世界が分かるのは僕だけというのならば僕が否定すれば俺は存在に値しないということで生きている価値のなさの自覚があってしまうことに間違いは無いと思う。
咎められる理由は無い。

君の見ているそれと僕の見ている俺は違うものだからさ。ね。というだけの話。

6/6/2025, 12:51:56 PM

水溜まりに映る空を見ていると
どこか遠くの空に落ちていけるような気がしたから。
ちょっとその場でジャンプして
地面を確かめて覚悟を決めて。跳んで入ってみた!
ぱしゃんと音がして跳ねた雨にスカートが濡らされて、じっとり重くなっただけ。

あーあ。怒られちゃうなこりゃ〜…。

5/18/2025, 3:28:52 PM

まって行かないで
そんな声が腹から零れようとするけど君はそれを止めた
なんでそんなに幸せそうな顔で、そんな言葉を紡いだのか。
ああやはり、僕じゃ君の生きる理由にはなり得なかったのか。
僕は君がいたからここまで生きたというのに
君にとっては、そうか。
ならば仕方あるまい、僕に止める権利も重みもないのだから。
ただ、君にも僕をここに留める権利は無い。君は僕より先に重くなくなった。

僕も連れて行っておくれよと思ったけど、
やっぱりまたなくていいよ。

空っぽの僕を更に軽く。空中に身を投げた。

自由だね。

5/17/2025, 10:45:20 AM

まだ知らない世界、と聞くと僕の世界を僕はどれほど知っているのだろうか、と思う。
僕は僕の好きなものも嫌いなものも得意なことも苦手なこともいい所も悪い所も知らない。分からない。人に言われたら、そっかあ。と思う。
でも知ってみたいから高一の夏休みに何となくピアスを開けことがある。もう塞がってしまったけれど。
開けても閉じても知れたものは何も無かった。そこまで痛くもないし。耳たぶだったのが悪かったかな。
開け直してみることにした。もしかしたらまだ穴はあるかもしれないから。ファーストピアスはなんかダサい。なんでだろうな。ダサいピアスでとっくの昔の傷にまた傷を付ける。最高にダサい。ぐいぐいしているうちに血が出てきた。それもそうか。気にせず押し進める。熱を持った鈍痛が耳たぶに現れるが別に気にとめるほどでもない、その瞬間貫通した。ジンジンするけど何だか心地いい。
…知らない世界を開いたことになるんだろうかこれは。どうでもいいけど。

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