まって行かないで
そんな声が腹から零れようとするけど君はそれを止めた
なんでそんなに幸せそうな顔で、そんな言葉を紡いだのか。
ああやはり、僕じゃ君の生きる理由にはなり得なかったのか。
僕は君がいたからここまで生きたというのに
君にとっては、そうか。
ならば仕方あるまい、僕に止める権利も重みもないのだから。
ただ、君にも僕をここに留める権利は無い。君は僕より先に重くなくなった。
僕も連れて行っておくれよと思ったけど、
やっぱりまたなくていいよ。
空っぽの僕を更に軽く。空中に身を投げた。
自由だね。
まだ知らない世界、と聞くと僕の世界を僕はどれほど知っているのだろうか、と思う。
僕は僕の好きなものも嫌いなものも得意なことも苦手なこともいい所も悪い所も知らない。分からない。人に言われたら、そっかあ。と思う。
でも知ってみたいから高一の夏休みに何となくピアスを開けことがある。もう塞がってしまったけれど。
開けても閉じても知れたものは何も無かった。そこまで痛くもないし。耳たぶだったのが悪かったかな。
開け直してみることにした。もしかしたらまだ穴はあるかもしれないから。ファーストピアスはなんかダサい。なんでだろうな。ダサいピアスでとっくの昔の傷にまた傷を付ける。最高にダサい。ぐいぐいしているうちに血が出てきた。それもそうか。気にせず押し進める。熱を持った鈍痛が耳たぶに現れるが別に気にとめるほどでもない、その瞬間貫通した。ジンジンするけど何だか心地いい。
…知らない世界を開いたことになるんだろうかこれは。どうでもいいけど。
軌跡だなんて言えるほど形のある人生ではないろくでもない人間だ。心底嫌になる
これまで引きずって跡になっているのはせいぜい自分で大きく重く背負ってるつもりの見せかけの十字架だろう、磔にされるまでもない幼い頃に犯した罪を未だ悔いている自分にほとほと呆れる。
己の存在価値とは、誰が決めるものなんだろうか
きっと自分ではない、もちろん貴方でもないんだろうけど。親でも友達でもないとするとやはりどこにもないのではないかと思う。ドーナツの穴と同じだ。あるのに、ない。色々な考え方があるから一概になにとは言えるものでは無いが。
死にたいと思う今日だったけれど死ねない理由はあるので恵まれている。と思う。
欲を言うのなら若くして亡くなった巨匠たちのような死に方がしたいと夢見るが僕に才は欠片もないからだらだらと生きてなんとなく死ぬんだろう、ギリ笑えないくらいのつまらないページだ。
早く死にますように、愛を込めて。
春風とともに去り行こう。
夏を過ぎ、秋を終え、冬を越えて、春を待つ。
伸ばした髪を震わせて、
部屋の物は片付けて。
蒼天に墜ちる夢で終わろう。
二度と醒めないような、そんな夢に。
形のない何かに名前を付けた誰か。不透明な要素でしかない何かに左右上下揺さぶられる一生だから勝てる人負ける人光る人失う人空を舞う人重力に耐えきれない人切りひらく人色々なものに出会い出逢い捨てゆくもの拾うものがあるのだろう。何を選びどの道を進むのか、1寸先は闇と言うけれど闇でも落ちてもどこからだってはじめは僕だ