るね

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12/5/2024, 2:10:46 AM

【夢と現実】


夢が出てくる話はすでに二回くらい書いた。
今このテーマを出されても正直、書きにくくて困る。

どんなお題でもそれなりに書ければ良いんだけどね。
私はなるべく創作でやっていこうと思っているから、尚更なのかな。

なかなか難しい。理想通りにはいかないね。




12/3/2024, 10:18:46 PM

【さよならは言わないで】


「アルフォンス。君とは必ずまた会えると信じている。だから、さよならは言わないでくれ」
 そう言ってウォーレンは微笑んだ。
 僕は『でも』と言いたくなって唇を噛んだ。

 彼は異国からの留学生だった。王位をめぐる争いから逃げるように遊学に出た王子様。ウォーレンの故国には五人の王子がいたものの、最近、第二王子と第三王子が相次いで亡くなっている。第四王子は後ろ盾が弱く、末子のウォーレンが国に呼び戻されることになったのだ。

 では第一王子はと言えば、生まれつき体が弱いらしい。足に障害があるとも言われている。それでも第一王子を王位にと願う王妃が、側妃の子供たちを暗殺したのではないかという噂があった。王妃の実子は第一王子だけなのだ。第五王子であるウォーレンが国に帰れば、彼の身も危ないかもしれなかった。

「大丈夫。私がこの国で何を学んできたかは知ってるだろ?」
「それはもちろん……」
 ウォーレンが専攻していたのは薬学だ。調合の腕は確かなものだし、素材に関する知識も豊富である。 

「私が薬を作りたいと思ったのは第一王子の兄上のためだ。国に帰ったら、兄上のお役に立ってみせるさ」
 ウォーレンはそう言うけれど、すでに異母弟を二人排除しているかもしれない方が、彼の薬を信じて飲んでくれるだろうか。

「私は王位に野心はないし、兄上が健康になってくださればそれが一番いい。アルフォンスはこの国の宰相補佐官になるんだろ?」
「一応はその予定だよ」
 今の宰相閣下は僕の伯父にあたる。縁故だと言われればその通り。でも、実際に仕事をこなせるだけの知識は身につけてきたつもりだ。

「いつか私の国に来てくれ。国交はあるんだ、きっと機会はある。君が来るまでに国内の問題を落ち着けておくと約束するよ」
 この国は比較的暖かく、僕は本の中でしか雪を知らない。北方にあるウォーレンの故郷はもっと寒いらしい。雪景色を見にくればいいさ、と彼は笑った。そして「またな」とだけ言って国に帰っていった。








 五年後。北方の国を訪れた僕は、伯父と共にその国の国王陛下の前に膝をついていた。面をあげよと声が掛かって、そっと見上げた先にはかつての友の姿があった。伯父の挨拶をちゃんと聞いていたのかどうか、ウォーレンは嬉しそうに僕に笑いかけてきた。

「やあ。久しいね、アルフォンス。また会えて嬉しいよ。たった数年だというのに本当に懐かしいな」
「……国の太陽たる陛下に直にお声掛けいただけるとは、身に余る光栄にございます」
 ウォーレンの眉がきゅっと寄った。
「堅苦しいのはやめておくれよ」
 そういうわけにもいかないだろう。今の彼は国王陛下で、周囲には人の目があるんだから。

 ウォーレンが留学から戻って間もない頃、この国を含む北方の地域で流行り病が蔓延した。元々体が弱かった第一王子はウォーレンの薬で一命を取り留めたものの王妃が亡くなり、先代の王は後遺症が残って退位を決めた。後継者にウォーレンが指名されたというわけだ。

「約束通り君に雪景色を見せよう。春までゆるりと滞在するといい」
 王になった友が笑う。僕は膝をついたまま頭を下げた。
「お言葉に甘えさせていただきます」

 けれど、僕は結局、春になっても帰れなかった。信頼できる側近が欲しいというウォーレンが僕を離してくれなかったのだ。
 二人きりになった時に僕は尋ねた。
「あの病で当時の王妃殿下だけが助からなかったのですよね。あなたなら薬を作れたのでは」
「アル」
 僕を愛称で呼んで、ウォーレンは僕の唇に指先で触れた。

 目を細めて友が笑う。
「滅多なことは言わない方がいい。この王城で長生きしたければね」
「ウォーレン……」
 敬称ではなく名を呼べば、笑顔が曇った。
「色々あったのさ。色々な」


12/3/2024, 1:13:38 AM

【光と闇の狭間で】

すごく書きたいんですが今は無理そうです
また書けそうな時にゆるゆると続けていけたらと思っております

狭間、ということは『光は見えている』
希望があるということかもしれません
真っ暗闇ではない分、余計に葛藤しそうです

12/2/2024, 12:36:57 AM

【距離】


書けそうなお題ではあるのですが、今ちょっと頭が働いてくれないので後で書けたら、と。


11/30/2024, 11:09:07 AM

【泣かないで】


 怒鳴られたのは私なのに、後輩の彼女の方が涙ぐんでいた。変なことを言い出した客をどうにか男性のスタッフに押し付け、彼女のフォローをする。

「泣かないでよー、大丈夫大丈夫」
 すると彼女は、涙をいっぱいに溜めた目で私を睨んできた。
「そんなこと言われて泣きやめるくらいなら最初から泣いてないんですぅ」

 泣く気がなくても、泣きたくなくても、条件反射のように泣いてしまうらしかった。
「難儀な性格だねぇ。感受性豊かってやつなのかな」
「……実は、大声出す男の人だめで。すみません、克服できたと思ってたんですけど」

 うーん。そういう事情であれば、接客の仕事は厳しいかもしれない。
「あたし、クビになりますか」
 そう言って、彼女はひどく不安そうな顔をした。それは私にとって、思わず守ってあげたいと思ってしまうような表情で。

「まあ、まだ何か大きなミスがあったわけでもないし、私もフォローするから」
「でも……ああいうお客さん、また来ますよね?」
「調理補助とかに仕事変えてもらう?」
「……できるんですか」
「一応、店長に聞いてみてあげよっか」

 彼女はパアッと満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうございます! お願いします!」
 泣いたカラスがもう笑った、という言葉があるけど、この子はまさにそれだなぁと思う。
「絶対変えてもらえるってわけじゃないから、あんまり期待しないでよ」
「はい!」

 コロコロと変わる表情が可愛くて、私は何かと彼女を構った。今では連絡先を交換して一緒にカラオケに行くくらいの仲だ。

「あたし、やっぱりお店辞めようかと思って」
「……そっかぁ」
 そんな気はしていた。厨房のスタッフも結構声が大きいから、この子の負担になっていたのだろう。
「でも! こうやって一緒に遊べるわけですし、先輩はこれからもあたしの先輩です!」

「うーん、それはちょっと」
「え……」
 私の言葉を早とちりした彼女が顔を曇らせる。
「ああ、違う違う。別に嫌なわけじゃなくて。店を辞めるなら、もう『先輩』じゃなくてもいいでしょ。名前で呼んでよ」

「あ。そうか。ええと」
「まさか私の名前知らないとか言わないよね?」
「それはないですよぅ」
 彼女が私を名字に『さん付け』で呼んだので下の名前を呼ばせた。バイトでは先輩後輩だったけど、学年が同じなのはわかっていたから。

「私たち、対等な友達になるんだよね。敬語ももう無しにしよう?」
「はい。あ……うん、そうだね」
「それじゃあ、これからもよろしくね」
「うん、よろしく」
 私たちはカラオケ店のコーラで乾杯をして、どちらからともなく声を上げて笑った。



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