るね

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10/10/2025, 11:27:17 AM

今年は割と秋が秋ですね。そうではない年の話だということにしてください。
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【一輪のコスモス】




 残暑がまだまだ顔を出す日々。秋というのは暦の上だけで、このまま冬になりそうだ。そんなことを思っていたら、ある日、テーブルに一輪のコスモスが飾られていた。

 それはどう見ても花屋の花ではなく、そこら辺の空き地にでも咲いていそうな野の花だった。小さくて、少し歪な花。

「コスモス? どうしたの、これ」
 花を飾ったのは同棲中の恋人だ。

「公園の近くに咲いてた。今年はまだ秋っぽいことがあまりなかったから」
 せめて秋の花でも飾ろうと思ったらしい。

「この瓶……すごく見覚えがあるんだけど」

 俺の記憶は確かなはずだ。薄青いガラスの四角い瓶は、宝石の名前がついた酒が入っていたミニボトルである。

 いつの間にこれを飲みきったのか……俺は知らない。

「最近ちょっと飲みすぎじゃないか?」
「そうかなあ。二日酔いにはなってないよ」
「そりゃ蒸留酒が残りにくいってだけだろ」

「休肝日は作ってるよー」
 恋人は不満げに口を尖らせる。
「そもそも君の帰りが遅いから」
「なんで俺」

「だって。ひとりで夕ごはんは寂しい……」
 囁くような声で呟かれて、罪悪感が湧く。

 こいつの酒量を俺が把握できていないのは、一緒に飲んでいないからだ。俺が帰宅した時には、すでに飲んでいることが多い。

 つまり……俺のせいか。そういえば、こいつは俺が休みで家に居ると、それほど酒を飲みたがらない。
「ごめん。今はどうしても忙しくて」
「いいよ、わかってる」

 すり寄ってくる恋人の頭を撫でて、額に口付けた。
「今度の休み、何か美味しいものでも食べに行くか?」

「え、やだ」
 埋め合わせのつもりで言ったら、即却下された。
「なんで」

「家の中の方がいい」
「そうか?」
「だって、外じゃべたべたできないだろ?」


10/9/2025, 10:06:13 AM

春恋があるなら
秋恋もあるということなのかな
夏恋はあったのかな
冬恋もあるのかな

1年ずっと恋の季節か

それなら相手はあの人がいい
特に冬恋が良いと思う
だって、寒ければ他に理由がなくても
くっついていられるから

そういう意味では
秋恋も悪くはなさそうな気がする

10/8/2025, 10:42:30 AM

久々に書きました。BLです、ご注意ください。
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【愛する、それ故に】





 大事な幼馴染であり、尊敬できる親友であり、将来を期待されている魔法士であり、とても優秀なクラスメイト。そして最愛の人でもある彼を、僕は騙し続ける。

「まったく。お前は俺がいないと本当にだめだな」
 そう苦笑しながらも少し満足そうな彼を、傷付けるようなことを、僕はしたくない。

 本当は世話を焼いてもらう必要なんてなくても。僕の方がずっと魔力が多くて、魔法が強くても。僕は何もできないふりをして、彼に甘える。

 魔法学校の主席も譲る。落ちこぼれと呼んでくれても構わない。

 朝は起こしてもらって、寝癖を直してもらって、一緒に食事をして。授業がわからないと言って甘え、予定を忘れていたと言って甘え、そのたびに苦笑される。

「お前さ。俺がいなかったら生きていけないんじゃないの?」

 そうだよ。その通り。ただ、君が思っているのとは少し意味合いが違うけど。

 誰よりも何よりも大切な人。君と笑い合える日々をどれだけ大事に思っていることか。君に触れたい、触れて欲しい。けど、臆病な僕は手を伸ばすことを躊躇する。

 君を愛しく思う気持ちを伝える勇気はまだないから。君の隣にいるために。誰よりも近くにいるために。僕は僕を封じ続ける。落ちこぼれであり続ける。

 だってそうすれば、君は僕を見捨てられないって、知っているから。本当、世話焼きでお人好し。

 大好きだよ。愛してる。

9/23/2025, 10:06:29 AM

【僕と一緒に】

抱きついて寝ている君に動けない僕は愛しと思うばかりで

(君はヒトでもネコでも他の何かでも)
 一緒に同じ夢が見られたら楽しそうだね

 ……これじゃ【僕と一緒に】っていうよりも【君と一緒に】だなあ

8/19/2025, 4:37:18 PM

【なぜ泣くの?と聞かれたから】



 私は「カア」とカラスのモノマネをした。

 ……それは『泣く』じゃなくて『鳴く』か。

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