―星が溢れる―
満天の星空が映った君の瞳から
星が溢れる
そのひとつひとつが輝いて
君の柔らかな白い頬を
伝って流れていく
―安らかな瞳―
世界の終わりが訪れる青い星
終わりの瞬間を目にして立ち竦む少女がいた
少女は安らかな瞳をしていた
人々は助けを求め合うように
重なり合って倒れていて
意識がある人なんて多分もう
少女以外にいなかった
世界からは色という色が消えていて
モノクロのフィルムを通したようだった
それでも少女は安らかな瞳をしていた
もう感情を失くしてしまったのかもしれない
空から降ってくる大きな星が見えた
少女は膝から崩れ落ちてしまった
少女は天に向かって祈るように手を合わせた
目を瞑り、世界の終わりに祈りを捧げた
それからどれくらい経ったのか
瞼の裏が急に明るくなった
目を開けると眩い光が差し込んできて
空に人影が見えた
少女は何かを呟いて再び目を閉じ
光る空に消えていった
―ずっと隣で―
魂の篭もった歌声を
ずっとずっと世界中に響かせる君の隣で
私もずっと舞っていたい
たくさんの人の目に映って
舞い落ちる桜の花弁のように
ずっとずっとずっと
ずっと隣で舞っていたい
―もっと知りたい―
もっと知りたい
そう思うのは人間の本能
でも、新しいことを知るくらいなら
既に知っていることを意識できなきゃ
例えば、一見、至って平和なこの星でも、
今どこかで銃声が鳴り響いてることとか
飢えに苦しんで夜も眠れない人が
いることとか
本来は南極にいるはずのペンギンが
真夏の動物園で当たり前に見れることとか
家の外で生きる場所を失ってしまい
ネットの中でしか居場所がなく、
陽の光も浴びられない人がいることとか
日に日に心電図のフラット音が増え、
産声が減っていることとか
認識はしてる
知識としてはもってる
ただ、知っているだけで
それ以上の関わりは無い
それじゃ何も変わらないじゃない?
―平穏な日常―
雨風凌げる暖かい家
当たり前に食べられる健康的な食事
何があっても私の傍にいてくる家族
私を信じて歩みを共にしてくれる同士たち
思うままに行動できる自由な時間
自分以外の誰かのことを考えられる余裕
それらが半永久的に約束された平穏な日常
飴細工で作った愛と平和に包まれて生きる
その外なんて存在を知るだけ