―安らかな瞳―
世界の終わりが訪れる青い星
終わりの瞬間を目にして立ち竦む少女がいた
少女は安らかな瞳をしていた
人々は助けを求め合うように
重なり合って倒れていて
意識がある人なんて多分もう
少女以外にいなかった
世界からは色という色が消えていて
モノクロのフィルムを通したようだった
それでも少女は安らかな瞳をしていた
もう感情を失くしてしまったのかもしれない
空から降ってくる大きな星が見えた
少女は膝から崩れ落ちてしまった
少女は天に向かって祈るように手を合わせた
目を瞑り、世界の終わりに祈りを捧げた
それからどれくらい経ったのか
瞼の裏が急に明るくなった
目を開けると眩い光が差し込んできて
空に人影が見えた
少女は何かを呟いて再び目を閉じ
光る空に消えていった
3/16/2023, 8:55:51 AM